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サプライチェーン4.0実現への近道
Part 3 サプライチェーン・コントロールタワーを実現するデータプラットフォーム

このコラムでは3回にわたってSCM4.0(サプライチェーン4.0)を実現するソリューション「サプライチェーンコントロールタワー」について解説します。

Part3の本稿では、サプライチェーンコントロールタワーの開発に、データプラットフォームが必要な理由、必要な要件、そして要件を満たすインターシステムのInterSystems IRIS data platformについてご紹介します。

サプライチェーンコントロールタワーとは? 詳細はこちら

インターシステムズジャパン株式会社
ロジスティクス営業部 部長 佐藤 比呂志

前回(Part2)は、サプライチェーンの分断化などの課題を解決するアプローチとして、サプライチェーン・コントロールタワー について書きました。

さてサプライチェーン・コントロールタワーの実現はなかなかハードルの高いチャレンジですが、その開発の具体的な課題について考えてみましょう。

まずは、様々なシステム、人、機械、その他からデータを集めてきて可視化するためには、やはりデータベースのようなものが必要になります。データベースシステムとなると一般的なシステムでよく使われているリレーショナルデータベースが思い浮かぶと思いますが、果たしてリレーショナルデータベースで用が足りるでしょうか?

データソースの中には、テーブルのようにきれいに項目が整理されているデータではなく、データが入れ子になっていたり、繰り返し項目があったり、同じデータの違うレコード同士で項目の種類が違うとか、機器が新しくなってデータ項目が追加されたとか、リレーショナルで取り扱いずらい形式のデータも多いでしょう。一方で、分析を実施する際にデータがリレーショナルテーブルのような形できれいに整理されているほうがやりやすい場合が多いのも事実です。そうするとリレーショナルと、その他のデータソースに合った形の別々のデータベースを用意するというアプローチを取りたくなりますが、それではいくつのデータベースシステムを用意しなければならないのか?個々のデータベースのデータとリレーショナル形式のデータにどうやって変換するか?

元々のデータが変わったらその変更をどうやってリレーショナルデータベースに反映するのか、などデータベースの種類や数が増えるにつれデータ同期に関連する問題に悩まされることになります。もう一つの課題は、様々なデータソースからデータをどんどん投入しながら、一方で必要なポイント、タイミングで判断を実施するためには分析機能をまさにオンザフライ(その場)で実施できなければなりません。リアルタイム分析ですね。

しかし伝統的なシステムアーキテクチャでは業務システムと分析システム、日本ではよく基幹系と情報系という分け方をされますが、これらは全く別運用されるのが一般的です。ですが、このアーキテクチャーをとる限りは、リアルタイム要件を満たすのは、非常に難しいでしょう。データの記録と分析が一体運用できなければなりません。そしていままでとは比較にならないくらいのデータがこの場所に流れ込んでくることになります。

データベース性能は今までとは一線を画す性能要件を満たさないといけません。データ投入スピード(レイテンシー)と大量データ処理(スケーラビリティ)を同時に満たす必要があります。また、投入されてくるデータ(メッセージ)をもれなく蓄積できる仕組みが欲しくなります。
この仕組みがないと、データを受信するたびにそれを蓄積する処理を記述しなければなりませんが、そうすると処理を組み込むことを忘れてしまうということが簡単に発生してしまいます。

様々なデータソースからデータを収集するためには、様々なシステム、アプリケーション、データベースなどと連携する必要があります。これを個別に開発すると大変な労力が必要ですし、連携の数、種類は時間とともにどんどん増えていきますので、いつまでも楽になりません。最終的には開発のキャパシティの限界を超えることになるでしょう。そしてシステムの連携は様々な理由で思ったように接続できないケースが発生します。その時に原因を素早く特定し、問題を修正して、リカバリーする仕組みも重要です。
ここでもデータの可視性が重要なポイントになります。

自動化、省人化を推進するためには、システム分析の機能も重要です。特にAI/MLなどの機能開発がスムーズに行えなければなりません。AI/MLが期待した通りに機能するためには、きれいに整理されたデータを準備する必要があります(クリーンデータ)。

コントロールタワー、つまり司令塔として機能するためには、全体を統制する能力が必要です。
アラートのようなプッシュ型のシステムの構築のためにもこの能力は重要です。これは単一の開発ツールでは到底実現不可能で、様々なツールを組み合わせて利用するしかないように感じるかもしれません。しかし、一方で複数のツールを組み合わせて使うためには、個々のツールに習熟する必要があって、その労力は大変なものです。ツールの組み合わせも相性等の問題もあって協調して動作させるためには、設定の調整や個別の仕掛けづくりなどが必要かもしれません。また、オープンソースのツールを使うと製品サポートの関係で頻繁にバージョンアップを強制され、そうすると他のツールの連携に支障がでるなど、初期準備および継続的な構成管理に目くばせをする労力も大変なものがあります。

そういうインフラの構築や保守にほとんどの時間を取られてしまって本来やるべきことに時間を割けることができなくなるという本末転倒なことも起こりがちです。こういう状況を想定すると、理想的には1つのツールが全てをこなすことができればずいぶん楽になるはずです。

それをイメージした絵が下の図で、コントロールタワーの機能を実装するための万能なデータプラットフォームがあると非常に仕事がやりやすくなるはずだということを示しています。

https://www.intersystems.com/jp-data-excellence-blog/wp-content/uploads/sites/25/2021/11/isj_supply_chain_seminar_03-1024x576.jpg
サプライチェーン・コントロールタワー開発の課題

 

繰り返しになる部分がありますが、サプライチェーン・コントロールタワーを実現するためのデータプラットフォームの要件としては、以下のようなことが重要です。

データをリアルタイムに処理する必要がありますので、でき得る限り高速にデータの取り込みができる方が良いです。様々なデータソースから同時にデータが投入されてきますので、一定時間に処理できるデータは多ければ多いほど良いです。

そして、将来にわたってそのハードルは上がっていきます。最初はなんとか要件を満たすことができても、やがて対応できなくなるかもしれません。そういう状況で、性能強化のためのチューニングをご自分でやらなければならないとなると相当大変です。状況によっては小手先の対応ではうまくいかず、根本的なアーキテクチャーを変更しなければならないかもしれません。そう考えるとデータプラットフォームが継続的に性能を向上させてくれて、将来の処理能力の増加要求に耐えてくれると大変楽になります。

また、データを高速に記録しながらそのデータを即時活用できなければなりません。

データにも鮮度があって、賞味期限の切れたデータに価値は全くありません。様々な形態のデータを処理して、それを利活用(分析、AI/ML 利用)するためにきれいに整理できる能力が必要です。

様々なデータソースからデータを取り込むためにアプリケーション、システム、機器と簡単につなげて、簡単にデータ取得ができなければなりません。より多くのデータを取得するために、さあデータをとりこむぞと意気込んだり、常にデータの取り込みを意識せずとも、勝手にデータが蓄積する仕組みがあるとうれしいはずです。データの取り込みだけではなく、そのデータを使って全体を統制するまさにコントールタワーの機能を実装する仕組みが必要です。

 

さて、インターシステムズは、以上で説明したようなデータプラットフォームとして InterSystems IRIS data platform を提供しています。

https://www.intersystems.com/jp-data-excellence-blog/wp-content/uploads/sites/25/2021/11/isj_supply_chain_seminar_04-1024x576.jpg
InterSystems IRIS データプラットフォーム

 
インターシステムズは、創業以来、40年以上に渡り、データ管理に関係する製品を開発、販売して参りました。
その歴史の中で、高速性に定評のあるキーバリュー型のデータベースをリレーショナル形式で表現する技術、オブジェクトデータベースやドキュメント型のデータベースとして表現するマルチモデルデータベース技術を開発して参りました。分析システム用には、多次元データベース(OLAP)形式のキューブを表現することもできます。この技術を応用して、さらに今後も様々なデータモデルに対応しようと考えています。データベースの高速性を生かして、データの記録と分析を一体運用できるマルチワークロードも実現しています。

様々なシステムの連携を行いやすくするための相互運用性(インターオペラビリティ)の充実にもずっと注力してきました。このプラットフォーム上で分析、AI/ML の機能を簡単に実装できるような仕組みづくりにも継続して取り組んでいます。

もちろん完全ではありません。
今後ももっと大量データを処理できるよう、もっと素早くデータを取り込めるよう、もっと多くのデータモデルを取り扱えるよう、様々なシステム、データ連携ももっと楽にできるよう、データをもっと簡単に整理できるよう、AI/MLに関連する技術開発もどんどん行っていきます。

データ管理に関するややこしいことは我々にお任せいただき(餅は餅屋)、皆さんはその道のプロとして物流、サプライチェーンの様々な課題解決のためにその能力を最大限発揮していただくような協力関係が築ければいいなと思っています。

欧米のある企業では、実際にサプライチェーン・コントロールタワー機能を実現するに当たり、様々な商用ソフトとオープンソースのソフトを組み合わせて構築にトライした結果、当初想定したハードウェアでは性能要件を満たせなかったり、開発工数が想定より大幅に膨らみ、費用面、スケジュール面でプロジェクトが頓挫しかけましたが、その後、InterSystems IRIS data platform を利用して構築する方針に変更し、無事にシステム稼働した事例もあります。

サプライチェーン・コントロールタワーといったある意味壮大な試みは今の所は考えられないという方々も、ご自分自身の直近の課題の解決にインターシステムズがお手伝いできるかもしれませんので是非お気軽にお問い合わせください。

 
サプライチェーン4.0実現への近道 Part1 はこちら
サプライチェーン4.0実現への近道 Part2 はこちら
サプライチェーンコントロールタワーとは? 詳細はこちら
関連リンク:「2024年問題」対策と物流DXの関係性とは? 関連コラムはこちら
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