第一回目の記事は こちら
連携基盤の役割
インターネットでシステム連携に関連するキーワード、SOAやESBという言葉で検索すると、連携基盤は以下のようなものを満たすべきという記載を見つけることができるはずです。
- メッセージング
- バッファリング
- ルーティング
- 調停(メディエーション)
- 指揮(オーケストレーション)
- 統制(ガバナンス)
メッセージングは文字通りサービスを依頼する側が依頼内容をメッセージとして表現し、それをサービス提供側に送ります。サービス提供側は、その内容に基づき処理をしてサービスの結果をメッセージとして依頼元に返します。メッセージの形式は単純なものから複雑なものなど様々な形式が考えられます。
バッファリングは、送り手が送信したタイミングで受け手が受信できるとは限らないためにいったん保留し、再度再送を試みる機能です。送信を保留するためにそのメッセージを一時的に保管する仕組みが必要になります。
ルーティングは、そのメッセージの内容に基づき送信先を変える機能です。
調停は、メッセージの受け手が送信元のメッセージ形式を受け付けない場合に基盤側が受け手が受け付ける形式に変換する機能です。
オーケストレーションは全体的な動きを指示、手配して統制する機能です。
ガバナンスは、何かルール違反が行われていないかなどをチェックする機能です。
これらの要件を満たすために必要なこととして、メッセージ(データ)管理機能(永続化)とそのデータを処理する能力つまりロジックを記述、実行する能力があります。
重要なことは5Rの原則
インターシステムズは、これらのことをもう少し平易な言葉で表現したいと思い、5Rの原則というものを掲げています。
5Rとは5 Right Things(5つの正しいこと)という意味で
1. 正しいデータを
2. 正しい量で
3. 正しい人に
4. 正しい時間に
与えることで初めて人は正しい判断ができて、その結果として
5. 正しい行動が導かれる
というものです。
IoTのためのデータプラットフォームの要件
ここでもデータをどう取り扱うかが重要であるということが理解できると思います。
それに加えIoTに対応したシステム連携基盤では
- 様々な形式のデータを柔軟に取り扱えるマルチモデル対応
- IoT機器から発生するデータを遅延なく消化する低レイテンシー(高速レスポンスタイム)
- 複数のIoT機器から発生する大量データを機器数が増加してもこなせるスケーラビリティ(高スループット)
という要件を満たす必要があります。
さらに自然言語で記述された非構造データとIoT機器から発生する様々な構造データを組み合わせて処理したいということも考えられます。
そして正しい判断が行えるためには、データを分析できる仕組みが必要です。
データ分析に関して、従来は業務システムとは別に分析用のデータウェアハウスを構築し、その上で様々な分析を行うということが行われてきました。
もちろんこのアプローチを全否定するわけではありませんが、分析だけでは、上記の5Rの内、正しい判断をして、正しい行動が導かれる所までは到達できません。
回想的な分析の結果得られた知見を最終的に正しい行動に導かれるようにするには、実際の業務システム上で、得られた分析結果に該当するような事象、パターンが実際に発生していることを検知する仕組みが必要です。
そのためには、業務システム上の実データに対して同様、もしくはもう少し小さくパターン化したような分析を実施する必要があるように思います。
これらの分析処理はリアルタイムにタイムラグのないデータに対して実施する必要があって、その分析の結果予想されたパターンが発生した場合には、それを人々に知らせてアクション指示を仰ぐとか、予めその処方箋を組み込んだりすることもできなければなりません。そしてこれらの一連のプロセスも一過性のものではなく継続的にモニターリングとアクションを繰り返していくことで最適化を推進していくという流れを構築することができます。
ただ分析するだけでなく、その結果得られたものを積極的に行動を伴うことによってシステムに反映していくという意味を含めて、これをアクティブアナリティクスと呼んでいます。
まとめ
以上でデータプラットフォームが担う役割が多岐にわたり、様々な要件を満たす必要がある、ということが理解できるのではないかと思います。
一般的に普及しているテクノロジーを元に考えると、マルチモデルデータベースに対応するためには、複数のデータベースシステムが必要になるでしょうし、システムの連携には連携基盤が別途必要になるし、分析のためには、データウェアハウスやBIツールといったものを別途用意しなければなりません。さらに自然言語処理にはまた別のソリューションを用意する必要があります。
さらに、これらの様々なソリューションを組み合わせて使用するために様々な調整作業を強いられることでしょうし、ソフトウェアのバージョン更新のタイミングもバラバラで、1つのソフトウェアのバージョンを更新した結果、他のソフトウェアと整合性が取れなくなったなどの事故も多々発生することでしょう。
これでは本来行いたいことに集中する前に雑用に忙殺されるという本末転倒になりかねません。
冒頭で述べたアジャイルという属性とは全く逆の方向に進んでいくことになります。
最低限のツールセットで必要十分な要件を満たせる、ここにインターシステムズのデータプラットフォームを選択する理由があります。
インターシステムズのデータプラットフォームについて、こちらのホワイトペーパも合わせてお読みください。