相互運用性のイノベーション – InterSystems in Healthcare Seminar 2018に寄せて

データの標準化は、これ自体、一般的にはイノベーションであると思われていないでしょう。しかし、皆さんのその考えを変えたいと思います。HL7 Version 2 (HL7 v2)は、ご存知の通り医療のデータ標準です。最新の診療データの標準で、FHIRと呼ばれるものがあります。これは、医療データを利用する人にとって、イノベーションを起こしています。

よりよく理解するために、標準化の歴史を見てみましょう。相互運用性の意味は、大きく変化しています。1980年代は、相互運用性とは、2つのシステムを接続するものでした。そして、そのためにHL7データ標準が開発されました。この標準は、病院内の1システムと他のシステムを繋ぐために作られました。そして、私たちは、このデータ標準を、1つのシステムとその他の複数のシステムと接続するために利用するようになりました。しかし、元来その標準は、こうしたことをするために設計されたものではありません。

今日、米国の病院では、平均80の ITシステムを院内で運用しています。相互運用性でまず課題となるのは、その施設内で、これらのシステムをシンプルに接続することです。

そこから発展して、相互運用性には、入院、外来施設と同じく、病院が他の病院や診療所と連携できることが求められています。別の言い方をすれば、現在、相互運用性は、複数のシステムや環境にある個人、あるいは1つの集団のデータを参照できることを意味します。

データは、もはや1つの病院システムにあるだけではありません。多くの異なるシステム—例えば、薬局、健康保険、検査会社、開業医、診療所などに存在しています。また、家庭にある機器やウェアラブル端末などにもありますし、家族のモバイル機器や、ソシアルサービス機関などにもあります。そのため、異なる場所にあるデータを1つに集めて参照し利用することができる必要があります。

今日、実際に、人々は個人の機器との接続をもっています。オフラインでのデータアクセスや保存は、オンライン、リアルタイムでデータにアクセスするようになっています。データの透明化への努力は、世界中の各国で取り組まれています。タイムゾーンに関係のない簡単でリアルタイムなコミュニケーションに対する要求は、組織を横断してデータの共有を行い、個人が自分のデータへアクセスできるようにする事へのニーズを高めました。さらに、データは多様です。例を挙げると、データ型の違い、記述データとコードデータの混在、高画質画像、ゲノム配列などです。

データがある場所だけではなく、30年、40年前に比べ、データ量自体が爆発的に増加しています。しかし、診療の現場にあっては、今でも50年前と同じワークフローを使っていたりします。変化の必要があります。しかし、1980年代に開発された標準では、非常に困難です。

今日、私たちは、診療と治療の改善、品質の向上、医療連携、そしてその他のデータ分析のためにデータを利用したいと思っています。 こうした事が、イノベーションが生まれる機会になっています。そして生まれたのが、医療における FHIR なのです。FHIR は、技術と医療におけるデータの意味の両方を合わせたものです。なぜこれが、こんなに意味があるのでしょうか。それは、医療が複雑だからです。医療における1つのコーディングシステムを考えてみてください。SNOMED コードシステムは、38万のコードと、これらコード間に120万のリレーションシップを持っているのです。

FHIR を使うだけでは、相互運用性のある何かを作れる訳ではありません。データの意味を正確に規定する同じFHIRプロファイルを使用することで、相互運用性を確保します。そう、2つの端末で、相互運用トランザクションが、同じプロファイルを使用しなければ、相互運用性はありません。

FHIR リソースとしてデータを表示すると、このデータを異なる相互運用パラダイムに移行することができ、これには、変更の必要がありません。FHIR データをメッセージにも使用可能で、HL7 v2メッセージの送信と同じように、1つのシステムから他のシステムに送信が可能です。CDA に類似したドキュメント内に、そのデータを置く事も可能です。REST API のようにデータを表示することも可能です。さらに、例えば、決定サービスまたはアラートサービスなどのサービス内にあるように、このデータを使用できます。こうしたことは、今日存在する他の標準ではできない事です。例えば、検査結果データを HL7 v2 メッセージでもっているとします。これを、シンプルに CDA ドキュメントに入れることはできません。何らかのデータの移行作業が必要になります。しかし、FHIR では、文字通り、異なる相互運用パラダイムにカット&ペーストすることができるのです。

これは、真の相互運用性のコンセプトに達することができることを意味しています。即ち、データの交換が可能であるということで、データを交換する両方の側で、データは同じ意味を意味します。これが、イノベーションなのです。非常にワクワクします。そして、FHIR は、医療の相互運用性の将来です。

私は、10月11日(木)に東京で行われる InterSystems in Healthcare Seminar 2018 ―すべてのデータを利用可能に―で講演をさせていただきます。FHIR の素晴らしさと将来について、さらに詳しくお話させていただければと思います。お時間が合えば、是非、お越しください。皆様にお目にかかれるのを楽しみにしております。

 
ラッセル リフトウィッチ(医学博士)
技術バックグラウンドをもち、20年以上に渡り診療に携わる Dr. ラッセル リフトウィッチ は、インターシステムズ社の相互運用性に関するシニア・クリニカルアドバイザであり、また、ヴァンダービルト大学医学部の生物医学情報の助教でもある。内科および臨床情報の認定評議委員も務める。

 

Russell Leftwich, MD

With an engineering background and over 20 years of medical practice, Dr. Russell Leftwich is Senior Clinical Advisor, Interoperability, for InterSystems and Adjunct Assistant Professor of Biomedical Informatics at Vanderbilt University School of Medicine. He is board certified in internal medicine and clinical informatics.
Follow him on Twitter at @DocOnFHIR.

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