医療組織が、患者エンゲージメントに投資する3つの理由
Part 2: 効率性によるコスト削減
前回の私のブログ投稿では、インターシステムズグローバルサミットのヘルスケアリーダシップカンファレンスへの参加について述べました。ここで私は、個別化医療と患者エンゲージメントの討論でのモデレータを務めました。さまざまな組織とエグゼクティブたちが、彼らの貴重な経験を披露した中で、患者エンゲージメントに投資する共通する3つの理論的根拠が浮かび上がりました。1つ目は、価値に基づくケアという新しい世界で成功する道筋を整備することです。2つ目は、基本的なビジネスニーズでの、よりよい効率性とコスト削減です。
レストランや美容室から、予約確認の電話を受けたことがありますか? 約52%の医療従事者は、患者との接触に電話(依然として最も多い)、メッセージ送信、電子メールなど複数の手段を使って、次の予約のリマインドを患者にしています。診療による支払いであろうが、成果に基づく支払いであろうが、こういったことは、人的資源の観点からは、コストがかかっています。予約に現れない患者があることは全国的な問題であり、ある調査によると、都会のあるクリニックでは、 約42%もの予約患者が、来院しなかったと言います。そのコストは膨大です。例えば、手術相談で患者が来院しないコストは、その組織に 500ドルかかり、さらに手術そのものにかかるコストが無駄になる可能性も秘められています。これらを積み上げると、年間数百万ドルにも膨らみます。
テキストメッセージを送るなど、きちんとした服薬を支援するということも、患者エンゲージメントツールに投資する大きな理由です。カンファレンスの参加者たちによれば、技術を看護師などの人と結びつけることが重要だと言います。彼らは、患者のデータを逐一確認して、必要に応じて患者と接触します。服薬管理は、医療による結果を改善し、医療施設だけでなく製薬会社の利益も押し上げます。
最後になりますが、フォームの記載やオンラインでの予約による患者エンゲージメントによって、コスト削減ができたという組織がいくつかありました。これらは、管理コストの削減につながります。こうした機能は、患者にとって本質的に強制的だと思われますが、ベイステートヘルスの患者および集団健康技術担当ディレクター、ケン・ライリー氏は、例えば、ビデオやゲーミフィケーション(ゲームの中にサービスなどを組み込む)を使って、デジタルなやり取りをしっかりとさせる、といった事は他の業界から大いに学ぶべきものがあると言われていました。また、技術は、医師だけでなく患者にとっても、効率性の向上やコスト削減を可能にすると認識することは重要です。
仕事や学校を休んだり面倒な通院をせずに、遠隔診療を受けることを望む患者は多いのかもしれません。用紙への記入や同じ情報を何度も紙に書くプロセスを無くし、オンラインでフォームが記載できれば、全ての人が喜ぶと思います。
このシリーズの最後の投稿では、医師が患者エンゲージメントで直面する共通課題と、何が前進させ続けるのかに加え、医療組織が患者エンゲージメントへの投資を加速させる3つ目の論理的根拠について、探っていきたいと思います。是非、次回もお読みください。
「パート1:価値に基づくケアへの道を整備」はこちら
著者について
Lygeia Ricciardi (@Lygeia)
デジタルヘルス、患者エンゲージメントの専門家。クリアボイスコンサルティング代表。以前は、アメリカ合衆国保健福祉省ONC(IT調査室)において、コンスーマ・eヘルス局を設立し、それを先導した。