HIMSS19 参加レポート
Create the Future of Care – ケアの未来を創造する

インターシステムズジャパン
セールスエンジニアリング/コンサルティング マネージャ
堀田 稔

 
米国フロリダ州オーランドと言えば、ディズニーワールドなどのテーマパークを思い浮かべる方も多いであろう。しかし、オーランドはカンファレンス・展示会が多く行われる場所でもある。そのオーランドで2月11日から15日まで行われた HIMSS19 に参加したので報告したいと思う。
 
日本に寒波が到来していた2月中旬、オーランドは最高気温が25℃を越える「初夏の陽気」である。そんなリラックスした気候の中、オレンジ郡コンベンション・センタで HIMSS19 は行われた。巨大な建物の中で多くの企業がブースを構え展示を行っていた。出展企業数は1300社を超えるという。改めて米国のソフトウェア産業の層の厚さに圧倒される。

Create the Future of Care
「ケアの未来を創造する」。これが今回の InterSystems ブースのテーマである。InterSystems は、病院・医療連携ネットワーク(Provider)や保険者(Payer)向けに展開する HealthShare ファミリー、そして、新たに販売を開始したパートナ企業向けプラットフォーム IRIS for Health を中心に展示を行った。また、社員やゲストスピーカによるプレゼンテーションがブースで行われていた。製品のデモには多くの人が集まり、質問を投げかけるなど賑わいを見せていた。

「ケアの未来」といえば、ロボットを使って手術をしたり、AIが画像を読み込んで病変の有無を判断したりするなど、すぐそこまで来ている近未来の技術もある。しかし、我々 InterSystems は、「データ」という目に見えないが、非常に重要な視点から「ケアの未来」についての提案を行なっていた。以下では、いくつかのキーワードに沿ってInterSystemsの考える未来について述べてみたい。

*以下、画像をクリックすると大きな画像が表示されます

FHIR
FHIR(Fast Healthcare Interoperability Resources)は、HL7 が提供する次世代の医療情報標準フレームワークである。医療データの標準といえば、HL7 v2やSS-MIX2など、すでに様々な規格が存在し利用されている。しかし、FHIR の良いところは、Fast という言葉が表すように、柔軟で拡張が容易な情報交換の仕組みを、迅速に開発できるようにした点にある。

 
 
 

そのことを端的に示す例が、Apple 社の Health Records API であろう。そのAPIでは FHIR を活用して、iPhone などから医療情報にアクセスするアプリの開発が可能になっている。多くの人々が24時間365日、スマートフォンを使って暮らしに必要なことを済ませたり、余暇を楽しんだりしている。スマートフォンで医療サービスを受けられれば便利なことがたくさんあるように思う。

 
 
 
また、FHIR の活躍の場はスマートフォンに限らない。医療機関や薬局、介護施設や行政機関などの間で、医療データを交換するインフラにも使える。例えば、異なる銀行間で振込ができるのも、世界中でクレジットカードを使って買い物ができるのも、セキュアな標準規格でデータを交換できるからである。FHIR を活用すれば、医療データでも同様のネットワークが構築され、より良い医療のための様々なイノベーションが生まれると期待される。

ブースでは、Da Vinciプロジェクトという民間主導の取り組みが紹介されていた。Da Vinci は、FHIR を活用し、関係者の間でデータを交換するユースケースを定義し、実装を行うことで、「Value-based(価値に基づいた)」医療の実現を目指すという興味深い試みである。

InterSystems は、FHIR をサポートすることにコミットし、医療データ流通のための堅牢でセキュアなプラットフォームの構築を、迅速に行えるソフトウェアの開発に取り組んでいる。米国においては、すでにその舞台が作られ始めていることに大きな刺激を受けた。
 

AI
AI は未来を創造するもう一つの鍵である。パートナである HBI Solutions のプレゼンテーションでは、医療の成果(outcome)とコスト効率性を両立させるためにAIが必要であると説明があり、同社のリスクモデルを使った例を紹介していた。ちなみに、ニューヨークのHealthixでは、InterSystemsのデータプラットフォームを活用してリスクモデルの構築を行なっている。CEOのEric Widen 氏は、AIを活用し、Fee For Service から Fee For Value への移行の必要性を訴えていた。

同氏が例示していたのは、入院患者の敗血症早期警告の仕組みと、ある集団内での自殺予防のシステムである。もちろん経験を積んだプロが様々な取り組みを行なっている分野であろう。しかし、大量のデータからリスクを計算し、システムがアラートを出すという点が重要である。昨今、労働力不足による見落としなどが問題となる中、インテリジェントなシステムがプロの判断を支援することは、医療の成果に大きく貢献すると考えられる。

また、検査値などの他、フリーテキストで書かれたデータもリスクモデルに入力されていることも見逃せない。電子カルテの普及に伴い大量の文章が記録されてきているが、それらの活用はまだまだこれからであり、HBI Solutions が提案するシステムは、その点でも先進的だと思う。

 
 
 
 
 

データプラットフォームの重要性
FHIR による医療情報の流通と、AIによる判断支援について述べたが、それらを真に実用化するためには、堅牢なデータプラットフォームがキーとなる。InterSystems 製品開発ディレクタの Jeff Fried が参加したパネルディスカッションでは、パネラー達がその点に賛同していた。データは、様々な場所で、様々な形式で発生し、重複もあれば、本来紐づくべきデータ間の関連の欠如もある。InterSystems の製品が目指すのは、そういった散在して不完全なデータを整理・統合し、迅速に活用することを可能にする仕組みである。それを我々はデータプラットフォームと呼んでいる。データプラットフォームは、データの流通と活用の基盤となるものである。
 

最後に
「ケア」という言葉には、医療行為だけではなく、介護や予防など QoL を高めるすべてのことが含まれると思う。また、そうしたケアは、従事者の方々の献身的な仕事のみならず、患者やその家族の積極的な関わり、そして、それらを可能にする国民の経済的負担、そのすべてが有機的かつ効率的につながってはじめて、よりよい成果を生むものと考える。医療データの基盤構築という視点から、我々はどのような貢献ができるだろうか。関西空港に降り立ち、スーツケースにしまい込んでいたダウンジャケットを着ながら、HIMSS19 で見た「ケアの未来」に今一度思いを巡らせた。

 

 

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