OMOPとは
OMOP(Observational Medical Outcomes Partnership)は、医療ビッグデータの分析を目的として国際標準モデルです。電子カルテをはじめとする病院情報システム、疾患レポジトリ、疫学調査データ、保険請求データなどの診療情報を標準化した、とくに研究を目的として制定した共通データ形式で、Observational Health Data Sciences and Informatics(OHDSI)によって開発され、国際的に利用されています。OMOP CDMは、データの標準化を通じて、異なるデータソースからの情報を統一的に分析することを目的として作られたデータモデルです。
OMOP利用の課題
近年、医療データのデジタル化が進み、特に臨床研究など、ケアマネジメントにとどまらずリアルワールドデータをさらに活用できる新たな用途への期待が高まっています。しかし、電子カルテ (EHR)をはじめとするさまざまなシステムに保存されている データは、システムごとに異なり、研究チームがアクセスしづらいものです。さまざまなシステムの異なるデータをOMOP形式に変換することが、大きな負荷となっており、OMOP利用、そして臨床研究でのデータ活用の課題なっています。
OMOPとFHIR
FHIR(Fast Healthcare Interoperability Resources)は、医療情報を共有するための国際標準規格であり、近年、日本でも厚生労働省がFHIR用準準拠を推進しており、医療情報の標準フォーマットとして、今後広く普及していくことが期待されています。こうした背景から、FHIR形式のデータを、分析、研究のために広く使われている OMOPへ変換するニーズが非常に高まっています。
InterSystems OMOP Platformとは
InterSystems OMOP Platform は、軽量のクラウドベースによるデータパイプラインおよび管理ソリューションであり、EHR の標準規格 Fast Healthcare Interoperability Resources (FHIR®) と、InterSystems が持っている、すぐに使える CDM への変換機能および SaaS (Software as a Service) の OMOP リポジトリを組み合わせています。このデータを使い、Observational Health Data Sciences and Informatics (OHDSI) コミュニティとツールを活用して、研究課題をさらに発展させることもできます。
多様な EHR からリアルワールドデータを抽出して変換し、マネージド型 OMOP リポジトリにロードすることで、イノベーションや研究パートナーとの共同研究が促進されるシームレスなプロセスを思い描いてみてください。
InterSystems OMOP Platform の紹介
完全なクラウドファーストのデータプラットフォームである InterSystems IRIS for Health™ 上に構築された OMOP Platform は、データとアプリケーションのサイロをつなぐ高性能な人工知能 (AI) 対応アプリケーションの構築と導入を容易にし、以下によって大規模な臨床研究と患者データ管理をサポートします。
• EHR データへの効率的でスケーラブルなアクセス:OMOP Platform は、EHR の標準機能 Bulk FHIR を使用し、新たに対象となる患者の記録が反映されるように OMOP リポジトリを毎日更新します。
• OHDSI 環境への迅速な展開:OMOP リポジトリをスピンアップし、OHDSI ツールを活用します。すべて InterSystems IRIS for Health 上に構築され、AWS クラウド環境で提供されます。
• 治験の患者募集のためのタイムリーなデータ:頻繁なデータ更新により、臨床医や研究者は治験への潜在的な参加者をより迅速に特定し、募集することができます。治療後すぐに候補者に連絡を取ることで、参加への意欲が高まる可能性があります。
• EHR からの革新的なリサーチトランスフォーメーション:ノーコードのデータパイプラインにより、FHIR から OMOP CDM への標準マッピング機能を使用して、EHR データを研究水準の情報に変換し、ETL のメンテナンスコストを削減できます。
• 継続的なデータ品質モニタリング:データ品質ダッシュボードとサマリーメトリクスにより、データ品質の問題をタイムリーに特定し、ソースで修正できます。
主な特徴:
• 複雑な ETL 開発をしなくても、EHR データを毎日自動的に OMOP に変換して更新します。
• EHR ベンダーによって広く採用されている Bulk FHIR 標準を利用します。
• 従量課金制で OHDSI 環境を迅速に導入できます。
• クラウドベンダーのベストプラクティスを活用することで、セキュリティと規制へのコンプライアンスを確保します。
• データ変換前のデータ品質ダッシュボードを活用して、データ品質を検出・監視します。
• 新しいデータがある患者のみを対象とした増分データ更新が可能になります。
• 一般的な用語を OMOP オントロジーにすぐにマッピングできます。
• 一般的な FHIR リソースは、すぐに OMOP にマッピングされます。
• OHDSI ツールの新しい OMOP データベースオプションとして InterSystems IRIS が統合されます。
すぐに使えるデータマッピング
FHIR 標準は進化しています。下表に示すように、現在 OMOP Platform では、標準の FHIR リソースから OMOP CDM テーブルにすぐにマッピングできます。
クラウドソリューションとして展開
InterSystems OMOP Platform は、インターシステムズが提供・管理する SaaS (Software as a Service) です。このサービスのお客様は、複数のデプロイメントを作成して、個別にサイズ変更、管理、アクセスできます。
サービス内容:
• シームレスな運用に必要なすべてのインフラリソースとソフトウェアを含む包括的なプラットフォーム
• InterSystems Cloud Portal にアクセスすることで、お客様は OMOP Platform デプロイメントの作成、管理、監視や新しいサービスの追加が可能
• 最新版クライアントライブラリへのアクセスとフル活用
• Amazon Web Services で利用可能
• 強固なセキュリティとデータ保護プログラム
• リアルタイムの監視を含む 24 時間 365 日のサポート