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CDSSは、ライフセーバーか?

「処方箋:患者への害を最小限にして、その状態を最大に継続させるという医師の推量」

私は、あの朝の事を今だ鮮明に覚えています。朝8時でした。長い廊下には人混みがあり、消毒剤のにおいが立ち込めていました。私は新米のインターンで、通常勤務の日で、患者様向けにいつもの朝の投薬業務をしていました。その時突然、病棟の長い廊下の隅から奇妙な音が聞こえました。即座にそこに行くと、12歳ぐらいの男の子がいて、汗を流しながら意識が薄れていました。彼の横には注射器を持った私の同僚がいました。彼は大変慌てた様子でした。投薬に問題があったことは明らかでした。緊急にすべきことは、この少年を安定させ、この状況から救うことでした。そして私たちは、これをやり遂げることができました。

思い起こせば、同僚は、適正な薬剤を定量、適正な方法で投与するという指示による処方に従っていましたが、その薬は、他に処方されていた薬と反応し、患者の症状が急に悪化したことが、調査によって分かりました。医師のための潜在的な薬剤間の副作用に対する注意や警告はありませんでした。この時、彼には、自身の記憶と判断以外には、この薬の投与を再考しろという警告を出す手段はなかったのです。

これは、世界で毎年起こっている患者に影響する多くの医療過誤の1つの例に過ぎません。薬物相互作用、あるいは、アレルギーと薬の副作用といった問題を解決する方法はあるのでしょうか。

医療は、この20年で大きく変化しています。医師は、これまで以上にテクノロジーを使うようになり、従来の医療行為を変革させています。電子診療記録(EMR)の発達と相互運用性によって、患者と医師は、連携した医療を実現できるようになり、よりよい医療提供という利点を最大に享受しています。

利点の1つは、CDSS (Clinical Decision Support Systems)がEMRに組み込まれたことです。CDSSは、コンピュータによる情報システムで、診療現場で医療従事者の診療上の意思決定を支援するよう設計されています。CDSSは、患者の特別な評価と診療プロフィールに基づいており、よりよい診療上の結果を提供することができます。

Grand View Researchによる新規レポートによると、グローバル診療意思決定システム(CDSS)の市場規模は、2024年までに7億9125万ドルに達すると言われ、平均年成長率は期間内で6.7%と予測されています。

CDSSは、診療のさまざまなレベルで適用可能ですが、特に、急性期に置いては顕著です。その機能を以下に挙げます。

  1. 薬剤の最大投与量(MTD)を医師に推奨
  2. 患者の臨床パラメータと血液検査に基づく診断の確立
  3. 診断に基づきオーダーセット/テンプレートを推奨
  4. 薬物相互作用、薬剤によるアレルギー反応、重複治療のアラートを生成
  5. 小児、腎臓に特化した投薬計算
  6. 患者の手術前・後観察の支援および予防医療的リマインダ

しかし、導入には課題もあります。CDSSは、よく定義された、あるいは曖昧なガイドラインをコンピュータ処理可能なコードに変換する必要があります。

CDSSが、従来のケア提供メソッドを変えている事は明らかです。より広範なEMRの普及とCDSSとの統合によって、医療の変革と標準化を支援することが可能です。さらに、防止することが可能な病院の廊下の隅で起こる災害から、私たちを守ることもできるかもしれません。

 
Rohin Rameswarapu(医師)
InterSystems TrakCareの医師モジュール実装を担当。Rohin医師は、15年以上前に医療業界に入り、既存の医療品質基準と患者の経験を改善するビジョンを有します。医者、研究者、医療システムと管理のスペシャリスト。Rohin医師は、技術の向上だけでなく、ケアの継続性を改善し、より良い臨床成果を創出するために、医療アプリケーションを最適化することに情熱を持っています。
 

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