州当局や連邦当局が医療費を管理しようとする中で、ニューヨーク州のMount Sinai Hospitalなどの医療システムは、慢性疾患のメディケイド受給者のケア管理を改善するプログラムに参加しました。
規定によると、ニューヨークの病院は「病院の救急診療部での処置を希望するか必要としている慢性疾患の対象者を、指定されたHealth Homesプロバイダに照会する手順を確立」する必要があります。これに従わない病院は、メディケイドの償還が減額されます。
同州は昨年、各病院に対し、これらの患者を特定して、ケアコーディネーションサービスを提供するHealth Homesプログラムに照会する責任を課しました。
Health Homesプログラムは、2010年の米医療保険制度改革でオプションのMedicaid State Plan給付として導入され、その1年後にニューヨーク州が採用したもので、対象のメディケイド患者が通常のケアやサービスを受けられるようにして、救急診療部(ED)への不要な来院や入院を防ぐことを目的としています。
Mount Sinai Health Systemは、ニューヨーク市最大の統合型医療提供システムです。South Nassau Communities Hospitalを追加すると、グレーターニューヨーク全域で8カ所の病院キャンパス、一流の医科大学、広大な外来診療ネットワークを包含しています。
7カ所のEDで処置を受けた患者の約40%は、Health Homesプログラムの対象者です。
ケアマネジメント担当の管理ディレクタValerie Slater氏とプログラムマネージャLeilani LeTang氏の下、州の要件を満たす任務を負ったMount Sinaiチームの課題は、プログラムの対象者であるED患者を特定することでした。
州の規定により、複雑な症状のメディケイド患者を特定する必要に迫られる
最初の方法は手作業でした。ケアコーディネーターは、ED患者の個々の医療記録を精査して、Health Homes要件を満たすメディケイド患者を探す必要がありました。その要件とは、2つ以上の慢性疾患またはHIV/AIDS、深刻な精神疾患、あるいは深刻な情緒障害です。
その後、これらの患者を、できればまだEDにいる間にHealth Homesプログラムに紹介するか、登録するか、あるいは今後の追跡調査に向けてチームの他のメンバーに照会する必要がありました。州当局からは、規定を満たすための病院の取り組みを文書化するよう求められているため、これらの照会の結果をExcelスプレッドシートに記録していました。
プロセスは労働集約的で、管理者らは、そのすべてまたは一部を自動化できないか検討しました。
病院では、識別処理を自動化してすばやく処理するアプリを構築
Mount Sinaiの医療情報交換担当ITチームは作業に着手し、InterSystems HealthShare®を基盤にしたED Health Home Trackerアプリをわずか2週間で開発して提供しました。Mount Sinaiでプログラムマネージャを務めるLeTang氏によると、アプリケーションを利用するためのトレーニングは最小限だったといいます。
HealthShareによって必要な患者データがアプリに抽出され、その後Health Homes対象の患者にフラグが立てられます。LeTang氏と同氏のチームは、Trackerで優先患者としてフラグが立てられる患者はすべてHealth Homesの対象者であり、アウトリーチ照会が実行されることを把握しています。
さらに、このアプリではアラートが送信されます。メディケイド患者が任意のMount Sinai EDに登録されると、入退院および転院(ADT)アラートによって、適切なHealth Homesケアコーディネーターへのメール通知が実行されます。患者の入院先に応じて、通知するケアコーディネーターがフィルタリングにより決定されます。
これらのメールは安全で、患者のメディケイド識別番号、氏名、生年月日のほか、Trackerで特定するのに十分な情報が記載されています。ケアコーディネーターがさらに多くの情報を必要とする場合は、リンクをクリックすると、使いやすいHealthShare Clinical Viewerウィンドウが開き、患者の統合医療健康記録が表示されます。
ケアコーディネーターは、患者と実際に会ったときの結果を、ExcelスプレッドシートではなくTrackerに記録できるようになりました。
Slater氏は次のように述べています。「この要件に対する課題の1つは、EDの状況です。患者が常にその場で登録するとは限らず、混乱した状況になりかねません。目標は、初期段階で患者とある種の信頼関係やつながりを確立することです。」
ほとんどの患者は、追跡調査のためコールセンターに照会されます。
これらの照会は、Health Homesの対象者でありながらHealth Homesに登録していない患者の日次レポートに表示されます。このレポートは、アウトリーチスタッフチームのコールリストになります。
今後の機能強化
Health Homes向けのチームとプロセスを整備したMount Sinaiは今後、接続性の強化とプログラムの効率に焦点を移す予定です。Slater氏は、現在手作業で確認する必要がある記録の数が60%減少すると見積もっており、スタッフは時間を大幅に節約できます。
すぐに登録しない対象患者を追跡調査しているコールセンターは、独自の連絡先管理システムを有しており、Trackerから患者の氏名をダウンロードしています。
Mount Sinaiはさらに、近く新たな要件を課される可能性があり、今度はHealth Homes対象の入院患者を追跡することになるかもしれません。
LeTang氏は、Trackerの機能を拡張することで、この課題をはじめ他の課題にも対応できると自信を持っています。
「すでにHealth Homesの対象の症状がある患者を特定して介入の優先順位を付ける上で、Trackerは非常に役立っています」とLeTang氏は述べています。「また、私たちの取り組みの成果をすべて1カ所で追跡することもできます。」