その証拠が法廷で有効と認められますか。スマートウォーター・テクノロジー社が、DNA方式のSmartWater®システムの生産とユーザ登録を行うための新しい生産管理データベースを導入したいと考えた時、追跡証拠は引き続き隠ぺいする必要がありました。しかし、インターシステムズとジーベック・インフォメーション・システムズ社の協力により、スマートウォーター・テクノロジー社は高速で信頼性の高い、コスト効率と拡張性に優れたな新しいソリューションを手に入れました。
スマートウォーター・テクノロジー社は1996年に設立されました。同社が製造する防犯スプレーSmartWaterには独自の化学マーカーが含有されており、世界でも犯罪抑止効果が高いと認められています。SmartWaterは10億通りの配合が可能で、英国全土の警察署に設置されている検出器によって特定できるため、法廷に証拠として提出すれば、それに基づいて間違いなく罪状が確定します。SmartWaterが導入されていれば、物理的な証拠として確実に犯罪が立証されることを犯罪者は知っています。その結果、犯罪者はSmartWaterを避けようと必死になり、その結果、SmartWaterの成功は、ますます加速します。
InterSystems Caché® のデータベース技術を使用した新しいコンピューティングソリューションを実装する前、スマートウォーター・テクノロジー社は紙資料、データベース、表計算ソフト、ファイリングキャビネットに頼っていました。生産段階でのサインオフ、保持している対照データ、記録されているエンドユーザ登録では、証拠の連続性がきわめて重要でした。2007年まで、同社はこのような面で重圧を感じていました。
「生産増大は私たちの大きな頭痛の種でした。保険業界がSmartWaterを採用し始めたため、受注量が急増することは明らかでした。既存の半手動のシステムに頼り続けることはできなくなっていたのです」と、CEOであるフィル・クリアリー氏は述べています。
厳しい要件
セキュリティ面の安全性、堅牢性、拡張性に加えて、将来の新しい手法に対応するための柔軟性も兼ね備えた生産管理システムに置き換える必要がありました。証拠となる事象のトレーサビリティも求められ、技術的な要件は極めて厳しいものでした。
「当社が作成できると考えられるすべてのSmartWaterの配合は10億通りに上りますが、これを保存できるデータベースが必要でした。大量のデータを取り込み、全体のプロセスにおいて、多くの段階に対応可能であることが求められました」と、クリアリー氏は述べています。
さらに、一貫性のあるデータ記録、重要な生産ステップのサインオフ、バッチごとの詳細な追跡を製造スタッフの手で容易に実施できるように、非常に使い勝手が良く、高速でグラフィカルなインターフェースも、スマートウォーター・テクノロジー社は必要としていました。
個人的な勧めもあり、同社は新しい生産システムの開発に向け、世界最速オブジェクトデータベースであるインターシステムズ社のCachéをベースとしたソリューションを提案しているジーベック・インフォメーション・システムズ社に問い合わせました。そのソリューションが受け入れられた理由は何でしょうか。
クリアリー氏は次のように述べています。「目的とするデータベースでは、SmartWaterの膨大な数の配合を扱い、すべてのプロセスを通じて安全で確実に、追跡する必要があります。ジーベック・インフォメーション・システムズ社では、これらの課題に対応するデータベースの構築にCachéの使用を考えていました。これが、このソリューションの採用を決断する決め手となりました」
ジーベック・インフォメーション・システムズ社は、プロジェクト管理、ビジネス分析、ソフトウェアとアーキテクチャの設計から実装、最新の技術知識の提供に至るまで、顧客に合わせたコンサルティングサービスに応じました。
「ジーベック社は、当社と密に協力し合い、当社の業務を把握するために多くの時間を割いてくれました。同社の取り組みには満足しています」と、クリアリー氏は語っています。
高機能なデータベース技術
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- 高速、堅牢、セキュリティ
- 優れた拡張性
- 使い勝手の良さ
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Cachéにはオブジェクト格納機能があるため、スマートウォーター社は、その複雑な要件を満たしながら、標準的なSQLレポート機能を備えた、カスタマイズしたデータ構造を構築できました。実際、Cachéの高性能なオブジェクトデータベースは、リレーショナルデータベースと比較して5倍の速さでSQLを実行します。重要なCachéコンポーネントであるInterSystems Zen(ユーザーインターフェースをデータベースに自動的に結合するAJAXフレームワーク)を使うと、Webブラウザ環境で容易に展開する、機能豊富なアプリケーションが、迅速に開発できます。
新しいソリューションは2007年11月に予定どおりインストールされ、モジュールに実装されました。共有サーバに置かれたCachéデータベースは、生産部門にもリンクしています。生産スタッフは、手作業で書類を作成する必要がなくなりました。代わりに、新しいソリューションで、生産プロセス全体のバーコードリーダーを備えた直感的な画面を操作します。これによって、生産スタッフは1か月の生産サイクルあたりで2万個の固有バッチを簡単に処理できるようになります。
きわめて信頼性の高いCachéデータベースでは、証跡の完全性を保持し、すべてのアクティビティを記録できます。インターシステムズ社のソフトウェアで実現する迅速な開発と配備、またその使い勝手の良さにより、新しいアプリケーションは「非常にコスト効率に優れている」ことを証明しました。データベース管理の要件を最小限に抑え、無理のないハードウェア要件で優れたパフォーマンスのアプリケーションが得られるため、総所有コストを劇的に削減できます。
スマートウォーター社が分析サンプルを受け取った時に、Cachéベースのシステムが真価を発揮します。わずかなSmartWaterの痕跡により、正しい所有者が明らかになり、犯罪者をその現場に結び付けます。そのため、犯罪の解決や盗難品を捜索する警察にとって有効なツールとなっています。結果として犯罪者はSmartWaterを必死に避けようとするため、SmartWaterは圧倒的な犯罪抑止力となっています。
クリアリー氏は次のように語っています。「サンプルを分析すると、その一意な参照番号が即座に分かります。このシステムは紙のレポートを無くしました。また、ほんのわずかでも、特定のSmartWaterに触れた全ての人間を、法廷に召喚することも可能です。」
建物や財産を保護する保険業界でSmartWaterが採用され始め、今後数年にわたり、その月単位での生産量はこれまでの10倍以上になると予想されています。ジーベック・インフォメーション・システムズ社が開発したソリューションによって、スタッフはこれまでになく細部に気を配りながら作業を進めることができます。また、Cachéの迅速なアプリケーション開発環境により、ビジネスニーズの変化に対応した機能拡張も、迅速に行えます。
クリアリー氏は次のように述べています。「ビジネスの今後の成長において、私たちの事業では、拡張性は重要です。インターシステムズ社の製品を使用して、より効率的に作業できるようになりました。現在、これを生産から納品、顧客関係、インボイス、および経理まで広げていくことを検討しています。最終的には、インターシステムズ社の技術を基盤とした、完全なエンドツーエンドのソリューションにする予定です。」
インターシステムズUK社長のグラハム・フロストは、次のように結びます。「セキュリティと信頼性、また拡張性に優れたソリューションを迅速に開発・展開する上で、インターシステムズ社のCachéがスマートウォーター社の製造工程と流通工程で重要な役割を果たしていることを喜ばしく思います。SmartWaterは、資産と法廷証拠の安全性を実現するための、これまでとはまったく異なる取り組みです。最も重要なことは、犯罪者がSmartWaterの効果に気付き、これを抑止力と見なしていることです」