現代の金融サービス組織の IT 部門は、絶妙なバランスが求められる難しい役割を担っています。まず、IT 部門は、増える一方の規制を遵守しながら、大量のデータを安全に管理しなければなりません。その一方で、IT 部門は、熾烈な競争のある市場での差別化を可能にする、フロントエンドの技術革新も実現しなければなりません。
英国の大手投資管理サービス プロバイダの一つである Rathbone Brothers Plc (Rathbones) は、きわめて高速かつスケーラブルなデータベース システムである InterSystems Caché® の導入を通じて、これらの課題に対処し、さらなる発展のためのプラットフォーム構築することができました。
柔軟性に乏しい既存システムの置き換えニーズ
Rathbones が初めて Caché を使用したのは、何年も前に既存のバックオフィス業務の近代化を図ろうと決めたときでした。「InterSystems Caché の採用は、多くの意味で私たちにとって真の前進になりました」と、Rathbones の IT 部長である Mark Cummins 氏は説明しています。「まず、グリーン画面の端末エミュレータを完全な Web ブラウザ式インターフェイスにすることで、ユーザー インターフェイスの近代化を図ることができました。」
Cummins 氏によれば、この移行は、それまで Rathbones のバックオフィス システムをサポートする古いデータベースに閉じ込められていた貴重なデータにユーザーがアクセスしやすくなるという効果ももたらしました。
「私たちは、初めてユーザーに独自のカスタム レポートを作成するための直接 SQL クエリー ツールを提供することができたのです」と彼は話しています。
According to Cummins, this move also gave users greater access to the valuable data previously locked within an old database supporting Rathbones’ back-office system.
技術革新のためのプラットフォーム
現在では、Caché は、Rathbones の根本的な企業理念である「顧客への高度にパーソナライズされたサービスの提供」を継続的に推進するうえで、不可欠なコンポーネントとなっています。
Rathbones の IT 部長である Mark Cummins 氏は次のように述べています。「Rathbones の哲学はシンプルです。当社は、優れた顧客サービスに全力で取り組むことで、会社としての成功と高い評価を築いています。」
この努力の大半は、IT 部門が先進的な管理システムや情報システムを提供できるかどうかにかかっています。この目標を達成するために、Cummins 氏とそのチームは、Caché の持つ迅速なアプリケーション開発機能を使用して、Rathbones の投資マネージャにきわめて貴重なサポートを提供するフロントオフィス システムを構築しました。このシステムは、各投資マネージャが、自身の担当する顧客を、リスク プロファイルに基づいた画一化モデルによってではなく、固有の要件や目標を持つ個別の顧客として管理できるように支援します。そして、そのためには、このフロントオフィス システムを多数の業務システムと統合し、必要なすべての情報を投資マネージャがリアルタイムで簡単に入手できるようにする必要がありました。
「これは、当社の IT システムの歴史の中で重大な瞬間でした」と Cummins 氏は話しています。「革新的なシステムを構築できたので、投資マネージャは真にカスタマイズされたサービスをお客様に提供することに集中できるようになりました。これこそが、当社の得意とするところなのです。」
さらに、インターシステムズの英国およびアイルランド担当マネージャである Jonathan Selby は、これが両社の関係の最も喜ばしい側面の 1 つであることを、次のように表現しています。「Rathbones が Caché を同社の金融システムの主要な業務データベースとして最大限に活用してくれていることを嬉しく思います。何よりも、インターシステムズの支援により、Rathbones が顧客に提供するサービスを明確に差別化できたことがすばらしい。」
増大する要求と課題への対処
金融サービス業界のすべての企業と同じように、Rathbones も最近、主要なビジネスの場である英国、ヨーロッパ、および米国市場での大幅な規制の増加を経験しています。このことで、Cummins 氏は 1 つの課題に直面しましたが、Caché を使用することでこれに無事対処することができました。
「豊富なセキュリティ機能があるうえ、それらをきめ細かく構成できるので、お客様のデータを保護しながら、厳しさを増す規制を遵守し、社内外の監査要件を満たすことができました」と同氏は説明しています。
規制への対処を迫られるのと同時に、Rathbones では、顧客の投資を管理するための洗練されたツールを求める投資マネージャからの声も高まっており、同社の IT にはさらに強いプレッシャーがのしかかっていました。
「パフォーマンス測定、要因分析、および資産配分モデリングは、特にプロセッサとディスクを集中的に使用する処理であるため、基礎となるデータベースやハードウェア インフラストラクチャへの要求は膨大なものになります」と Cummins 氏は話します。
Caché は、進歩したストレージ テクノロジとも連携して動作するので、このような要求にも容易に対応できています。
「2 ~ 3 年前に、重要なトランザクション機能でソリッド ステート ディスク (SSD) への移行を行いました」と Cummins 氏は話しています。「これにより、Caché ベースのシステムのスピードはさらに跳ね上がりました。そのパフォーマンス向上の数字は、アプリケーションにもよりますが、3 倍から 55 倍と、まったく驚くべきものになりました。結果として、私たちは分析とモデリングをリアルタイムで行う投資マネージャ用のツールを開発することができました。数年前なら考えられなかったことです。Caché のパフォーマンス、スケーラビリティ、および信頼性により、私たちはコスト効率の高い方法で業務の進め方をさらに改善しています。」
将来の成長を支えるスケーラビリティとパフォーマンス
Rathbones は、このビジネスに約 3 世紀もの歴史を持っていますが、最近になってかつてない成長を見せています。
「過去 10 年にわたり、当社は顧客のニーズに応えるという点で特に成果を挙げ、その結果、急速に成長してきました」と Cummins 氏は話します。
同氏は、Caché にはこの拡大をサポートしてきた多数の重要な属性があると付け加えます。また、Caché は、Rathbones が絶え間なく変化する技術情勢に対応するうえでも役立ってきました。「当社の成長に合わせて、Caché も成長してきました」と同氏は説明します。「たとえば、私たちは最近、増加するシステムを統合するのに、いくつかの課題に直面していました。ありがたいことに、Caché のスケーラビリティとパフォーマンスは、社内データと社外データのインターフェイス ニーズに応えるハブとしてぴったりだということがわかったのです。」
すばらしい財務成績を収めている Rathbones には、今後、さらに成長するあらゆる機会が開けています。そのため、Cummins 氏とそのチームは、さらにテクノロジの課題に直面すると考えられます。しかし、Cummins 氏は、Caché があることで、今後さらに高い目標をサポートするためのプラットフォームは整っていると安心しています。
「情勢がどれほど速く変化しようと、Caché のおかげで、システムの有機的な進化、顧客へのより効果的なサービスの提供が実現してきました」と彼は締めくくります。「だからこそ、Caché は現在、当社の投資システムの IT 戦略の要なのです。これは当分の間変わりません。」
Rathbones について
Rathbone Brothers Plc は、英国の大手投資管理サービス プロバイダの 1 つです。子会社を介して個人顧客、慈善団体、およびプロの投資アドバイザにサービスを提供しています。1742 年創業の Rathbones は、英国とジャージーに 12 のオフィスを持ち、190 名の経験豊富な投資プロフェッショナルを雇用する、35,000 を超える顧客を持つ企業です。