オランダに住む1,700万人の国民のうち、これまでに1,300万人が、InterSystems HealthShare®を利用して構築された全国的な医療情報交換システムであるナショナルスイッチポイント(LSP)を通じて自分の医療ファイルを利用できるようにすることを許可しています。市民のプライバシと、共有され、統合された医療記録の価値とのバランスが非常に重要な意味を持つオランダにおいて、この数字は注目に値します。
プライバシを確保しながら医療情報を共有
2005年に、オランダ政府は、医療提供者が患者データを電子的に交換するための全国的なシステムの開発に着手しました。その開発を担当することになったオランダの国立医療情報学研究所(NICTIZ)により、システムインテグレーターである DXC Technologyと、HealthShare およびInterSystems データプラットフォームテクノロジのプロバイダであるインターシステムズからなるチームが選出されました。2006年の終わりまでに、このチームは医療提供者(病院、家庭医、および薬局)が電子カルテに記録した患者情報を交換するシステムを3か月で構築しました。このシステムを使用することになる医療提供者は、医療の向上を図り、ミスを防止する上での、LSPの重要性と、仮想的に統合された医療記録の価値をはっきりと認識していました。
この交換システムは、医療情報のインテリジェントなルーターとして機能し、高いパフォーマンスと無限のスケーラビリティに加え、非常に高レベルのセキュリティを実現しました。しかし、政府関係者は、国営組織の一元管理されるシステムでは患者のプライバシ権が侵害される恐れがあるとして異議を唱えました。2011年にこのシステムは民営化され、以降はヘルスケアプロバイダコミュニケーション協会(VZVZ)によって運営されています。
過去のプライバシの懸念を解決
LSPに対する信頼は着実に高まっていますが、その主な理由は、VZVZがオランダの法律に従って患者のプライバシに十分な注意を払っているからです。
オランダの法律は、患者記録の共有に関する明示的な同意を得るための厳しい要件を定めています。例えばすべての一般開業医が、特定の形式のデジタル化されたファイルを使用して、電子データを仲間の専門家と共有し、他の医師から提供される情報を処理します。
さらに LSP にアクセスできるのは、医療従事者ID(UZI)カードを持つ医療従事者のみとなります。UZI は、カード保持者の役割を指定するものであり、厳格なプロトコルによって、どの医療提供者が記録のどの部分をみることができるかが決められます。例えば、認可を受けた一般開業医のみが、仲間の医師が作成した職歴にアクセスできます。薬剤師またはそのアシスタントは、過敏症、禁忌、およびアレルギーに関連する可能性のある薬剤の情報のみを表示できます。
[callout_box align="center" width="80%"]“知る必要がある場合にのみ情報が共有されるようにしています」と VZVZ の運営部長である Joris Smits 氏は述べています。「さらに、民営のZorgnetネットワーク内でデータを迅速および安全に転送する16のネットワークプロバイダを認可しています。これにより、医療チェーン全体で相互の信頼が必要とされ、ひいては医師に対する患者の信頼も必要とされるようになります。患者は、自分たちの情報を誰がオンラインで共有するのかを知ることができます”[/callout_box]
メンバーシップと容量の拡張
2019年は、患者の登録数だけでなく、LSP を使用した医療記録の共有を希望する組織の数も増え続けています。VZVZ には、特に高齢者あるいは若者を対象として医療を提供する組織や、メンタルヘルスを中心に扱う医療組織が多数参加しています。こうした組織が電子医療記録にアクセスできるようになれば、より包括的な医療を提供できるからです。LSP協会の会員であるためには、積極的に参加して、要件に確実に遵守すること、そして交換されるデータの品質を高い基準に保つことが求められます。
このプラットフォームは、2つのミラーリングされたサーバー環境を使用する、組み込みの冗長性のおかげで、スムーズに拡張し続けることができます。1つのサーバーに障害が発生した場合には、もう1つのサーバーで遅れることなくその作業を再開できます。このテクノロジは、監視メカニズムも提供し、遅延の恐れがある場合はいつでも再ルーティングを有効にできます。
Smits 氏はHealthShare についてこう語っています。「ヘルスケア市場において、容量と処理速度の両面でそのテクノロジを実証し続けているプラットフォームは、ほとんどありません。このシステムは年間10億件を超えるメッセージを処理できるだけでなく、情報を交換する医療機関チェーン全体で運用における極めて高い信頼性を提供します」