Mondial Tissus は、生地・裁縫用品の扱いでフランス国内最大の小売店舗ネットワークを展開する、市場をリードする企業です。「創業 39 年のスタートアップ企業」と自ら述べる同社は、100 店舗からなるネットワークを展開し、毎年 800 万人の顧客に対応しています。各店舗の売り場は、裁縫・編み物関連の商品が大量に取り揃えられた、創作意欲を刺激する空間として親しまれています。
裁縫用品、糸、ミシンを取り扱う同社のビジネスはこの数年急速に成長しています。この動きには、衣服や室内装飾をすべて自分で修繕あるいは制作する DIY が新たなトレンドになっていることが大きく影響しています。また、デジタル ビジネスが重要な販売チャネルに成長した一方で、あまり専門知識がなく年齢層も低い、これまでには見なかった新たなタイプの顧客が頻繁に店舗を訪れるようになっています。
Mondial Tissus では、情報中心型の顧客体験モデルを新たに構築する取り組みの一環として InterSystems IRIS® data platform を採用し、すべてのデータをその情報システムに保存することに決定しました。
在庫管理のデジタル化を軸に、顧客体験を再構築
新たなタイプの顧客層をさらに呼び込み定着させるには、店舗における販売体験を改善する必要があります。そのためには、当時まで在庫や販売情報が紙で記録されていた 100 か所の店舗のデジタル化を進める必要がありました。
販売員は通常、生地を裁断する長さ、在庫参照番号、価格などを販売伝票に記入し、顧客が伝票をレジに渡し、レジで情報を再入力していました。また、生地の長さや在庫参照番号を紙の帳簿に記録することで、在庫を管理していました。
デジタル化によってレジで情報を再入力する必要がなくなれば、プロセス全体を効率化し工数を削減するとともに、間違いが起きるリスクをなくすことができます。
Mondial Tissus では、このデジタル化にあたって販売員に 700 台のスマートフォンと 100 台の Android タブレットを支給しました。これには予想していなかったのメリットもありました。同社のアプリケーションから InterSystems IRIS に入力されたデータを通して、一人ひとりの顧客について、より深く知ることができるようになったのです。
このデータ プラットフォームを同社が選択した大きな理由としては、REST や SOAP などの Web サービスの実行や Web アプリケーションのホスティングを、独自に内蔵する HTTPS サーバーでまかなえること、構造化データと非構造化データを取り扱えること、SQL、Java、Node.js、.NET、C++、Python など数多くの言語と互換性があることなどが挙げられます。
Blanc 氏は、「InterSystems IRIS は信じられないほど強力です。当社のアプリケーションのあらゆる情報を格納する、単なるデータベースを大幅に超える存在です」と述べています。
Mondial Tissus では既にいくつかの自社開発アプリケーションにインターシステムズのデータ プラットフォームを使用していましたが、現在この技術投資を基盤とする、新たな技術や機能の開発を進めています。
Mondial Tissus にとってデータは欠かせません。実際、同社の在庫補充システム全体が在庫データと現金収入データに基づいて自動化されていますが、最小限のデータを入力するだけで正確な在庫が維持され、その結果収益性も改善できるような、デジタル化されたプロセスが必要でした。
サプライチェーンの最適化を経営戦略上の重点項目に
実店舗に並んでいる 10,000〜15,000 点を含む 50,000 点もの商品を取り扱う同社では、100 店舗それぞれにアプリケーションを導入し、データの包括的な統合ビューを本社で把握しています。在庫不足が発生した店舗は、全商品が揃ったオンライン ストアに生地の発注をかけることができます。
在庫不足を抑制する手段として、在庫状況をリアルタイムで計算するサービスがデジタル ノートブックに組み込まれています。さらに、このシステムを使って店舗とオンライン ストアの在庫状況を照会することで、欠品にすばやく対応し、再補充を的確に管理できます。
Mondial Tissus では、この新しいアーキテクチャによって柔軟で俊敏なインフラストラクチャを構築したことで、管理ソリューションを確立しただけでなく、サプライチェーン最適化を可能にする進化を遂げることができました。Blanc 氏は、特にリアルタイム在庫管理ソリューションとして活用することで、InterSystems IRIS データ プラットフォームの効率性が発揮されると述べています。
毎回の注文は 1 つのリクエストとして管理され、このリクエストが在庫状況をリアルタイムに計算することで、店頭の顧客とオンラインの顧客がまったく同じ時間に同じ生地を購入できます。デジタル ノートブックを導入し在庫のリアルタイム監視を運用するようになってから、店頭販売とオンライン販売が競合するケースは減少しています。
Blanc 氏は、「これはブランド イメージの観点からも大切なことです。売り切れた商品をいつまでも表示していることで、お客様に騙しているような印象を与えてしまいますが、そういったことがなくなるからです」と述べています。
将来を見据えたデジタル トランスフォーメーション
Mondial Tissus は、インターシステムズとの連携を通して、最先端のブランド イメージの構築、顧客体験の向上、完全な在庫管理という 3 つの重点目標を明確に定めることができました。さらに、この 3 つの目標が非常に密接に関連していたことから、強力な性能、簡単な導入作業、リアルタイム管理、自律性、費用対効果という条件を満たすデータ管理プラットフォーム活用の必要性にも気付かされたのです。
実際 InterSystems IRIS は、サポートをほぼ必要とすることなく独立して稼働しています。
「人員が潤沢でなく、店舗での IT サポート要員がいないことも、このアーキテクチャを選択した理由の 1 つです。このアーキテクチャなら、Web サービスの導入や更新などの作業をすべてリモートから行えますから」と Blanc 氏は語ります。
さらに Blanc 氏は次のように述べています。「InterSystems IRIS は管理をまったく必要としません。98 件のリモート データベースを管理する IT 部門にメンバーが 4 人しかいない私たちにとって、このことは非常に大きな意味があります。私たちは店舗に IT スペシャリストを置かず、本社にはたった 1 人のデータベース アナリストさえいません。InterSystems IRIS があれば、その必要がないのです。」
Mondial Tissus は、今回のデジタル トランスフォーメーションを通して最先端のブランド イメージを確立しただけでなく、新たな顧客サービス向上の手段を提供したことで従業員の満足度も高めることができました。販売プロセスをスムーズに進めるためのあらゆる情報をデジタル ノートブックから入手できるので、従業員は自らの専門知識を発揮することに 100% 専念できるようになったのです。
新たな開発マイルストーンをクリアした Mondial Tissus は、ほぼ 100% のデジタル化を達成した環境で、新たな成長に向け万全の体制を整えています。