2013年に、イングランドで4番目に大きな州であるリンカンシャーで、保健サービスと社会医療サービスの変革を目指して大幅な再検討が行われました。その目標は、病院の外の、患者の自宅にできるだけ近い場所で医療を提供できるようにすることでした。その野心的な試みを実現するために、LSTP(Lincolnshire Sustainability and Transformation Partnership)は2016年にインターシステムズとパートナーを組み、膨大な数の既存システムを統合医療記録システム「Care Portal」に集約しました。
InterSystems HealthShare を基礎とする Care Portal は、すでに地域全体で運用を開始していたので、コロナウイルスのパンデミックが到来したときにも、COVID-19に関するアラートをすぐに追加することができました。数日のうちに、インターシステムズと LSTP の合同開発チームは、患者が病院で SARS-CoV-2 コロナウイルスの検査を受けたことを結果とともに示す特定のアラートをCare Portalに追加しました。このアラートにより、急性期にも退院時にも、医療提供者が迅速に対応して適切な治療を施せるようになりました。さらに、医療チームに通知が届くようにこのアラートが拡張されたことで、患者の治療に関わるすべての人の安全が確保され、情報が確実に提供されるようになりました。
英国の他地域と比べて、リンカンシャーでは基礎疾患がある人や高齢者の割合がきわめて高く、こうしたグループでは COVID-19 が生命に関わるより深刻な問題となります。英国では、判明している COVID-19 による死者の4分の1が介護施設の入居者でした。こうした状況に対処するために、LSTPは地域での臨床検査の結果も Care Portal で提供して、検査結果が陽性であった患者を介護施設から隔離または移送できるようにしました。
患者が入院した場合にも、HealthShare は引き続き重要な役割を果たし、プライマリケアの記録に記載された患者情報を必要に応じて臨床医に伝えます。たとえば、疾患、投薬、アレルギーなどの情報は、病院の記録では入手できない場合もあれば、古くなっている場合もあります。HealthShare は英国の「GP Connect」サービスを利用して情報へのアクセスを提供します。これにより、患者の看護に関わるすべての医療提供者が、プライマリケアの記録情報を確認できます。記憶が正確でなかったり、意思の疎通ができなかったりする患者の情報をすぐに確認できることは、素早く安全な診断と治療を提供する上で非常に役立つ可能性があります。
さらに、市民がこのパンデミックの中でも最良の医療を提供され、無名の患者として扱われることのないように、LSTPの職員は力を尽くしています。LSTP では、COVID-19 に感染して入院している患者を支援するために、簡略化された形式のパーソナライズされた治療計画を作成しました。さらに今後は、Care Portal ですでに入手可能な医療情報を活用して、患者本人の判断に基づく主な優先事項と重要な情報、患者の希望、患者の治療法を、医療提供者が把握できるようになります。LSTPは近い将来、より詳細なパーソナライズされた治療計画をすべての市民に提供する予定です。
この事例は、こちらからもご覧頂けます(英語)- 2020年7月10日 - HealthShare Connections News Flash No.3: COVID-19 Pandemic newsletter