Skip to content
インタ―システムズ製品やソリューション、キャリアの機会などについて、検索してご覧ください。

イタリアがCOVID-19から立ち直るためにデータレイクが果たした役割

パンデミックが起きた当初のイタリアの光景は、この世のものとは思えませんでした。患者の多くは呼吸も困難な状態で、ベッドの空きもないため狭苦しい病院の廊下や待合室に列をなしていました。死者数は数千人に跳ね上がり、COVID-19が破滅的な病気であることを世界中に知らしめました。

イタリアはコロナウイルスとの戦いで大きな前進を遂げ、国内の研究者は現在、あと数か月でCOVID-19をさらに制圧できるだろうと確信しています。ミラノ最大の病院であるニグアルダ病院は、最近あるプロジェクトを立ち上げました。(EPRとPACSから取得した)データと人工知能(AI)を活用して治療法をより正確に把握し、今後の死者とアウトブレイクの発生を抑えようとするものです。この取り組み、すなわちCoviLake Niguardaの目的は、バイオマーカーを識別して、この謎に満ちた病気が患者の体内でどのように進行するのかを予測し、世界が急速に活動の再開に向かう中で、診断と治療をより確実かつ迅速に行えるようにすることです。

このプロジェクトの基幹を成すのは、インターシステムズのデータレイクとベンダーニュートラルなアーカイブで、ニグアルダ病院から患者1,000人分の匿名化された医療画像と臨床データ(X線写真、血液検査の結果など)がまもなく提供されることになっています。このデータレイクはオープンなコンテナで、AIアルゴリズムのトレーニングと臨床意思決定支援システムの開発に使用できるよう、データを相互に関連付けます。研究者は、これから半年のうちに、CoviLake Niguardaの取り組みを通じて臨床での差し迫った問題に対処できるようになるだろうと期待しています。

https://www.intersystems.com/isc-resources/wp-content/uploads/sites/24/How_Data_Lake_Italy_Rebound-thumb-300x200.jpg

ニグアルダ病院の医師で先進技術部門責任者のAngelo Vanzulli教授と、医学物理学部門責任者のAlberto Torresin博士は次のように書いています。「必要ならば、現在の所見と予後の予測を何年も前のデータで補完することもできます。現在の画像と臨床データ、患者の入院歴、治療の内容、基礎疾患の有無といった情報をすべて抽出してデータレイクに追加し、意思決定プロセスに役立てることができるのです。

標本検査では結果が出るまで数時間かかりますが、CoviLake Niguardaを通じて開発されたアルゴリズムなら、患者がCOVID-19に感染している可能性があるかどうかをほぼ瞬時に判定できます。このテクノロジにより、COVID-19と、似たような病気を見分けることもできます。そして、研究者によれば、それが将来のアウトブレイクの防止に役立つ可能性があるとのことです。

CoviLake Niguardaは、放射線科や救急科の医師、麻酔専門医、感染症専門家、医学物理学者などのあらゆる医師に恩恵をもたらします。この取り組みによって予後診断の精度が上がることも考えられ、そうすれば病院が患者を疾病リスクに応じて類別しやすくなります。一方、患者は入院中にも退院後にも、バイオマーカーと積極的なモニタリングに基づいて効果的な治療を受けることができます。

Vanzulli氏とTorresin氏は次のように指摘しています。「COVID-19は複雑な病気で、ウイルスとその仕組みについて詳しいことはまだ分かっていません。そして、そのことが現場の臨床医の負担を増やしています。」

それでも、全世界でCOVID-19により適切に対処できるようにするために必要な知見がCoviLake Niguardaによって明らかになれば、人々の負担が軽くなり、最先端技術への信頼が高まります。


この事例は、こちらからもご覧頂けます(英語)-2020年7月10日-HealthShare Connections News Flash No.3: COVID-19 Pandemic newsletter

関連するトピックス

あなたが好きかもしれない他のサクセスストーリー

英国NHS
InterSystems HealthShare® Health Connect Cloud™を使用して、病院の信頼関係を統合し、包括的な電子カルテを実現します。
健康データの集約
Jonda Healthは、多様で標準化されていない医療データを、患者、臨床医、検査機関がよりアクセスしやすく、利用しやすくします。
Harris Associates
InterSystems TotalView For Asset Management ソフトウェアは、ポートフォリオ・リターンの改善、顧客エンゲージメントの向上、リスクの削減、業務効率の改善など、ハリス・アソシエイツが必要とする情報と洞察を提供しています。
月刊新医療2024年1月号 掲載記事
市民の生命と健康を守る” という理念の下、2009年に設立した地方独立行政法人 神戸市民病院機構。
第43回医療情報学ランチョンセミナー レポート記事(月刊新医療2024年1月号掲載)
2023年11月23日、インターシステムズジャパンは「第43回医療情報学連合大会/第24回日本医療情報学会学術大会」にてランチョンセミナー 3「すべてのデータを利用する―医療情報の利活用のためのアーキテクチャと連携基盤」を共催した。演者は、山田英雄氏(藤田学園 )、座長は小誌連載企画「医療DXへの道」筆者の山野辺裕二氏(福岡輝栄会病院)が務めた。山田氏は講演で、スマートホスピタル構想実現に向けた同大学の取り組みや、FHIRで標準化したデータ2次利用連携基盤構築について説明。ここに、同セミナーの講演内容を紹介する。
Personalized Digital Nurse
高齢者は、複雑化する医療ニーズに直面しながらも、圧倒的に自宅で過ごしたいと答えています。 それには理由があります。 自立を維持し、地域社会との関わりを保ち、全体として生活の質が向上できるからです。
臨床検査機関
InterSystems IRIS for Healthへの9ヶ月間の移行により、パフォーマンスが30%向上し、新機能によりパルディーニ社の市場における主導的地位が強化されました。
医療機関・医療情報ネットワーク
驚くべきことに、ある人口における米国の平均余命に関係する上位3つの指標は、介護・老人施設への入居率、精神衛生上の問題、そして歯の喪失率です¹。 これらの指標の背景にある所得水準、介護へのアクセス、ストレス、その他の社会的要因は、遺伝や医療サービスへのアクセスよりも健康に大きな影響を与えます²。 しかし、これまで健康の社会的決定要因には、臨床ケアにおいて十分な注意が払われていませんでした。
保険機関と医療機関は異なる情報システムを使用しているため、患者はその中間に挟まれ、面倒な プロセスでギャップを埋めることを強いられることがあります。
統合デリバリー・ネットワーク(IDN: 医療提供ネットワーク組織)全体の統合
この米国の大規模な統合デリバリー・ネットワーク(IDN)の開発者たちは、個々のジョブを行うだけの統合エンジンに、我慢ができなくなっていました。 10年以上前に古いエンジンをインターシステムズの統合テクノロジーに置き換えましたが、それ以来、このIDNは、インターシステムズのソリューションが、成長力、従業員の時間の節約、コスト削減といった複数の問題を解決しているのを見てきました。 ある1つのプロジェクトだけで、インターシステムは10万ドルを節約したこともあります。インターシステムズの統合技術を利用して提供されるその他の利点には、次のようなものがあります: