ノースゲート・パブリック・サービス社は、警察のもつ効率性向上への大きなプレッシャを理解していました。20年以上に渡り、同社のパブリックセーフティ部門は、先進的なソフトウェアアプリケーションを英国全土の警察、緊急サービスとその関連部門に提供していました。
今日、警察部隊には、サイロとなった情報を連携させるという差し迫ったニーズがありました。インターシステムズ社が、迅速なインテグレーションと開発プラットフォームInterSystems Ensemble®をノースゲート社に提案した時、ノースゲート社は、顧客である警察向けに、そのコンセプトを紹介するプロトタイプを素早く作り上げました。その結果、警察では、複数の画面とシステムを統合し、これまでのIT投資を保護し、よりよい公共サービスを提供できるようになりました。
課題:
イギリス全国の警察は、彼らの使っている技術を連携させようと努力をしています。これにより、データからより役立つ情報を引き出し、意志決定を支援して、サービスを拡大することができます。特に、警察組織には、その技術を更新するというプレッシャもあります。
警察部隊の若い世代は、インターフェースを統一して、効率のよい運用と簡単に習得できるよう、制御室にある「グリーンスクリーン」システムを更新して欲しいという強い要望を持っています。
全国的に、警察サービスは、NPIA(National Police Improvement Agency: 全国警察改善機関)に、情報とITサービスを統合したコンポーネント化された一定のソリューションの採用を迫られていました。
こうした要求はチャレンジなしには、進めることはできません。「堅牢なITシステムに統合することは、複雑で時間のかかるプロセスで、1社のサプライヤによって動きがとれなくなりかねません」と、ノースゲート社パブリックセーフティ部門のチーフアーキテクト、サイモン・ブレード氏は説明します。
また、サイロとなっているITシステムを更新することは、決して容易ではありません。「警察にある多くの既存システムは、現在でもそのニーズに応えて稼動しているものです。さらに、スタッフのトレーニングや抽出コストは、しばしば、新しいソリューションを導入するのに、大きな壁となります」と、サイモン氏は語ります。
そうした背景から、インターシステムズ社がノースゲートに Ensembleを紹介したときに、そのソフトウェアの可能性は、すぐさま明らかになりました。「EnsembleによるSOAアプローチの適用することで、警察が既存投資を保護し、サイロシステムを連携させてより有用な情報を提供し、あらゆるユーザがシステムにアクセスすることを可能にすることができると思いました」とサイモン氏は、述べています。
ソリューション:
InterSystems Ensemble® は、迅速なインテグレーションと開発プラットフォームです。
最小のコーディングで、Ensembleは、すぐに、全方位から利用可能な(その目的で設計されていなくとも)非常に広範なサービスを提供することができます。複数のインターフェースは、1つに統合され、簡単に使えるフロントエンド、ルールベース・ビジネスプロセスが、このアプリケーションに組込まれました。これにより、ユーザは、複数のデータセットを1つのクエリで抽出することが可能です。
Ensembleのコンポーネント(インテグレーションサーバ、データサーバ、アプリケーションサーバ)は、1つのテクノロジスタックとして使えるように設計されています。これにより、Ensembleは、使用が簡単というだけではなく、市場にある他のインテグレーションソフトウェアに比べ、非常に高速です。
最終的には、Ensembleは、大変効率のよいSOAエンジンであるため(クライアントや各アプリケーションから抽出されたビジネスロジックをもつ)、このソリューションは、変更が柔軟に行え、アプリケーションの追加や削除が簡単に行えます。
インターシステムズUKの取締役グラハム・フロストは次のように述べています。「当社は、Ensembleが、ノースゲート社の早期採用者である警察部隊のインテグレーションの主要なコンポーネントとして採用されたことを大変誇りに思っています。これによって、これまで埋もれていた財産に大きな利益をもたらすことができるでしょう。真に結合された警察の実現と、将来的には全ての政府が結合されるという戦略的な目標が達成されることを期待しています」
利点:
インターシステムズ社は、POC(Proof of Concept)をわずか1週間で行い、ノースゲート社を驚かせました。2社は協力して、Ensembleを使って2つの新しいコンポジットアプリケーションを開発し、既存の警察アプリケーションの機能を利用することを可能にしました。このプロトタイプソリューションは、警察部隊に特化したIIM(Incident Information Management System:事件情報管理アプリケーション)です。「わずか12週間で、警察のユーザグループ向けに実際に動くソリューションの開発・デモができました」と、サイモン氏は述べています。
Ensembleとノースゲート社のコマンド・コントロールにより、GIS(Geographic Information System)とGrazetteer (地名辞典)を統合したIIMは、警察部隊に、多くの利点をもたらしています。
先ず最初に、複数のアプリケーションが、別々のウインドウとして、1つのスクリーンに統合されています。各自は、オリジナルのインターフェーススタイルを使え、オペレータは、キーボードまたはマウスの好きな方法で操作ができます。使い勝手がよいので、アプリケーションを入れ替えるというニーズはなくなりました。
アプリケーションは、また、それぞれが連携し、ユーザにより有益な情報を提供しています。「警察官は、コマンド・コントロールシステムを使って、車の手配をするとします。この単純なアクティビティは、1度に複数の事項の起点となっています。例えば、Ensembleは、GISにスクリーン上での場所の特定を依頼し、社内のナビゲーションシステムにルートを送ります。同時に、犯罪データベースを検索し、その住所での犯罪記録を照会する。詳細は各警察部門に任されていますが、結果は大変早くより多くの情報を提供し、より安全な業務を可能にします」と、サイモン氏は説明しています。
多くのコーディングを必要としないため、Ensembleは、ベストオブブリード・システムへの投資を保護します。アプリケーションは、簡単に追加や削除が可能です。「既存の資産の上に新しい機能を付加することも、全く新規のソリューションを、インクリメンタルに追加することも可能なのです。これにより、「壊して置き換える」というモデルに対する、新たな選択肢を提供することができます」と、サイモン氏は、付け加えました。
今後の予定:
こうした初期の利益に加え、ノースゲート社は、いくつかのEnsembleの付加機能を利用し始めています。ビジネスアクティビティ・モニタリングもその1つです。「Ensembleは、データリポジトリの機能ももっており、全てのアクティビティの監査追跡が可能です。これで、パターンのモニタに役立ちます。出動件数、出動要請元、配車の割合など、あらゆる統計をとることができ、リソースをより効率的に管理するのに有用です」
総じて、ノースゲート社は、Ensembleに大変満足しています。「このシステムはリスクが低く、すぐに使えて、当社の顧客であるそれぞれの警察の要望に、非常に柔軟に対応することができます」