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海と像と相互運用性の約束

先日、AMA(American Medical Association: 米国医師会) CEO Dr. James L. Madara が、この団体の 2017 Interim Meeting での基調講演で、医療データを活用した医療革命の機会について強調して述べていました。既に、過去10年での医療データの流入によって、この業界でのケア提供を新たなレベルへと押し上げていないなどとは、言っていません。日々、膨大な情報に取り組む組織のことはよく聞きますし、その多くは、最先端のデータと技術を上手く利用して、医療の質を劇的に改善しています。しかし、医師たちは、こうした量のデータと戦っていると考えているでしょうか―そして、それによってよい結果を得られているのでしょうか。

Madara博士によると、この業界は現在「データの海に直面しているが、これは臨床としての意味の池にすぎない」と言います。そして、彼のいう事は正しいと思います。現在、患者記録を定義する多くのデータセットから正しい情報を得ることは、患者の正しい評価と治療には不可欠です。多くの場合、最も重要な情報は非構造化データの中に埋もれています。しかし、誰かが、特に医師(恐らくこの惑星上で最も時間に追われている者)が、こうしたデータの山を整理して、診療の場でアクションが可能な診療上の意思決定を行うと、期待することができるでしょうか。

データをよりよく共有し、調整して、意味あるそして行動が可能なように医師に提供し、よりよい洞察の提供を進めて、迅速で正しい臨床意思決定を可能にする方法はあるはずです。

医療組織が患者の医療記録にある隠されたデータ利用に投資をするのであれば、非構造化データという最も重要な要素を抽出して、その情報を価値あるものとして、医療従事者に提供することに集中することから始めるべきです。また、こうして得た洞察を組織外の医療従事者と共有できることが必要で、これが、効率的なケア連携には非常に重要です。これは、基調講演の中で Madera 博士が、もう1つの重要なIT上の障害として言及したことです。

統一医療記録は、これまでも、そして今後も、今日の医療において必要な最も重要なIT基盤の1つです。残念ながら、私たちは、情報共有するという能力を「群盲象を評す」という寓話と重ねることができます。Madara 博士は、現在の医療データエコシステムを、この寓話に例えました。「あるものは胴体だと思い、他のものは尻尾、もう1人は耳だと思う。これらすべての者は、それぞれが異なるイメージを心に持っている。」この話の教えは何でしょう。医療は隔絶されすぎており、この複雑なパズルのピースを揃えるのは非常に難しいことです。このパズルこそ患者の診療状況の全体を示すものです。

さらに、ケアコミュニティ全体で効率的にデータ共有ができている場合ですら、全ての情報の対極となる意味ある情報の共有が、同じ位重要です。例えば、神経科の医師は、患者の過去の産科あるいは胃腸科での病歴には興味はあるかもしれませんが、多くの場合、彼らは今の診療状況に必要な関連した特定の情報を得たいと考えます。繰り返しになりますが、これは、より多くのデータは、実は、多すぎるデータであるという一例で、医療現場で最良な臨床決定において障害となる可能性を秘めています。

では、わたしたちはどうしたらよいのでしょう。相互運用性のよりよい標準へのニーズは、医療ではほぼ合意をしている分野で、依然として優先順位を高くおく必要があります。アナリスト企業である KLAS は、先日発表した Interoperability 2017 レポートの中で、その本質に言及しています。そのサブタイトルは、この状況をよく表すように「トレンドの初見 — 遠い彼方の水平線に向け、ある程度の進歩」とあります。このアナリストたちは、信頼性が高く効率的なデータ交換という意味では、業界はゆっくりと進歩していることに注目しています。しかし、このレポートの中で最も優れている者でさえ「深い相互運用性」については、26%しか獲得していません。しかも、情報交換内の両組織が、同じ電子カルテベンダーを使っている場合だけです。明らかに、私たちは、まだまだすべきことがあるということです。

こうした課題にも関わらず、努力は報われると思います。効率的な相互運用性の実現は、医療における次の破壊的変化が起きる可能性を持ちます。この努力の目標と第一の意図は、医師に、大切な時、大切な情報と繋がることのできるツールを提供することであるべきです。多くの課題は、いまだに目の前に横たわっていますが、行動可能な患者データへの約束は、そう遠くない水平線上に、まぎれもなく存在します。

HIMSS18で、Turner Billingsley博士にお会いになりたい方は、こちらをクリック、あるいは、InterSystems.com/HIMSS18 にアクセスし、カンファレンス中にブース内で行われるプレゼンテーション”Patient Safety Matter” の詳細をご覧ください。

 

Turner Billingsley(医師)
医療と技術の両方の経験および業界のソートリーダとしてCMO(Chief Medical Officer)も務める経験をもつ。医療の顧客と協力し、医療技術システム開発の支援を行い、インターシステムズのIT部門を率いている。

米国空軍のフライト軍医、フロリダ州ジャクソンビルのセントビンセント医療センターで救急医師としての経歴を含め、30年以上にわたって臨床に携わっていた。セントビンセント医療センターでは、品質管理とリスク管理の責任者としても従事した。また、エクスプレス・テクノロジー社の共同創始者でもあり、CMOとして救急科ドキュメントシステムの開発にも携わった。

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