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パンデミックを乗り越えた先の展望: 資本市場における データ管理の課題の克服

Firebrand Research

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企業が現在さらされているプレッシャー

「普段のビジネス」の意味が根本から変化してしまった環境で、金融機関はさまざまな課題に直面しています。COVID‑19 がもたらしている危機は、資本市場企業の部門の多くに潜在していた非効率性を明るみに出し、取引量や変動性の増大と、リモート勤務環境への移行を踏まえた、業務回復力の再評価を経営幹部に促しました。

市場は継続して変動し続け、全体的な市場の低迷にもかかわらず取引量が大幅に増加しており、このペースに追随することがフロントオフィス、ミドルオフィス、バックオフィスのチームの負担になっています。市場に変動性はつきもので、2008 年の世界的金融危機から市場は数限りなく高騰と下落を繰り返してきましたが、最近の状況は全世界を舞台にしたまったく前例のないものです。

これまでに起きた危機は実際には経済主体でしたが、COVID-19 のパンデミックは経済上の出来事ではなく、それぞれの市場に及ぼしている影響の様相は少しずつ異なっています。世界的企業と地域企業の両方が影響を受けており、業界全体でリモート勤務の大規模な導入を余儀なくされています。

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資本市場の地理的多様性も、特有の課題を生み出す要因になっています。たとえば、職員が自宅にコンピュータやラップトップを所有している米国のような市場では、リモート勤務は比較的容易に実現できますが、巨大なオフショア センターがあるインドのような国では容易ではなく、在宅勤務に対応するためにはラップトップを配送しなければなりませんでした。

以前に起きていた危機では運用とデータの面で深刻な問題が市場に生じていましたが、今回はどの市場もこの変動性の影響を免れることはできず、むしろグローバル企業では影響が拡大しています。市場が変動し、資産クラスの力学が変化している現状で、この変動性のために多くの企業がリスクの評価に関して守勢に立たされています。

バッチ処理と終業時のデータ提供に苦労している企業は、俊敏性の高い新参の競合企業にビジネスを奪われ、変化する市場力学を迅速に反映したリスク評価ができません。この業界はデータの増大傾向に長い間苦慮してきましたが、現在の状況で、企業は基盤のデータ アーキテクチャが抱える弱点への対応をますます迫られています。この弱点を克服できれば、企業は今日から未来に至るまでの課題により適切に対処できるようになります。

グローバル企業で複数のデータ サイロ間でシームレスなアクセスを実現するには、戦略的決断を下すために必要なときに、関連した情報を該当する職務の幹部に提供する、リアルタイムの一貫性がある安全なデータ レイヤーが欠かせません。このデータ アクセスによって、リモート勤務への対応と事業継続性計画の適応という現在も要求が高まり続けている課題にも、企業がより適切に対処できるようになります。ミドルオフィスとバックオフィス用のシステムの多くは、リモート アクセスの要求に苦しい対応を迫られている状況ですが、ハーモナイズされたデータ レイヤーが配置されていれば、ミドルオフィスとバックオフィスの業務の多くが強力にサポートされるようになります。

レガシー テクノロジの環境では、個人間で業務の引き継ぎを円滑に行うことができず、あらゆる職務にわたってキーパーソンへの重度の依存リスクが存在します。システムの垣根を越えてデータにアクセスできないため、企業幹部は、市場の正確な状況や、顧客と市場の継続的な動きから生じてくる好機をなかなか把握できません。市場の動きが急速すぎて予測がつかない場合、終業時のリスク評価ではあまり有意義な情報が得られないため、日中取引証拠金の算定と資産クラスの評価が非常に困難になります。

「資本市場は、データ アーキテクチャへの中核的な投資を遅らせてきた代償を払っているところで、変化し続ける市場の動勢に歩調を合わせるのに苦労しています。」

財務顧問のように、現在に至るまで顧客ビジネス サポートを対面でのやり取りに依存して行ってきた市場部門でも、対応に苦慮しています。オンラインとバーチャルでの顧客対応のサポートは、データからタイムリーに得られる洞察と、クラウド対応のテクノロジによって改善されます。

資本市場企業は、クラウド対応環境やクラウド ホスティング環境に移行したり、取引のライフサイクルの主要部分でプロセスを手作業からデジタルに転換したりすることを積極的に行ってきませんでした。新しく導入された次世代テクノロジ プラットフォームと、以前から引き継がれてきたレガシー テクノロジの間の非互換性は、データの問題を悪化させてきました。レガシー アプリケーションの段階的廃止には多大な時間と労力がかかりますが、企業はこうした制約に尻込みしてはなりません。将来、見通しのつくうちにデータ サイロが解消されることはないとしても、エンタープライズ データ ファブリックをはじめとする最新データ管理テクノロジに投資することで、企業全体にわたって分散したデータをつなぎ合わせられるようになるとともに、リアルタイムの分析能力と洞察が得られます。

2019 年 12 月に、英国の金融行動監視機構 (FCA) は、金融機関内部の業務回復力を改善する必要性を強調する諮問書を公開しました 。FCA はこうした審査を初めて開始した世界規模の主要規制当局ですが、2020 年は規制当局にとって危機に対する業界の準備状況を見極める絶好のテスト ケースなので、今後も同様の審査が相次ぐことは間違いないでしょう。

この審査や、その他の主要な業界規制当局の精査に耐えられる態勢を確立することが、企業には必要不可欠です。したがって、サービス レベル アグリーメント(SLA)の基準を満たし、普段のビジネスに混乱をきたすリスクを最小限に抑えることが、この危機を脱して将来もたらされる機会を狙う資本市場企業にとって最低限必要です。つまり、規制当局に問題視されないためには、リスク管理、ストレス テスト能力、分析が重要であり、これらのすべてに強力なデータのサポートが必要です。

変化のための枠組み作り

現在の環境ではこうした課題のすべてが積み重なって、上級管理チームと経営幹部にとって頭の痛い大きな業務リスクになっています。しかし、試練ではあるものの、このような危機を無駄にしてはなりません。この厳しい市場で企業が同業他社と差別化を図る手段は、短期的な業務リスクの落とし穴を回避できるだけでなく、長期的な競争力の強化に有益で、ビジネスのデジタル トランスフォーメーションの土台を築き上げる助けとなる、重要な投資を集中的に行うことです。テクノロジの可能性を正当に評価すれば、現在の危機の中で起きている問題に対処でき、重要な領域に投資することによって問題を改善できます。

テクノロジは過去 10 年の間に大きく進歩しており、今日の新しいテクノロジを利用すれば、ハーモナイズされた正確な情報を企業全体から収集し、必要なときにリアルタイムで企業幹部に提供できるので、こうした課題の多くに対処できます。こうした、インテリジェント エンタープライズ データ ファブリックをはじめとするテクノロジによって、既存のアプリケーションとデータをそのまま生かしながら既存のデータ アーキテクチャをより効果的に活用でき、必要なときに移動中のデータにアクセスし、統合、ハーモナイズ、分析を行って、幅広いビジネス イニシアチブの要求を満たすことができます。さらに、危機発生時に市場や変動性レベルが急変すれば、これらの新しいテクノロジをダイナミックに拡張して、データの量とワークロードの増大に対応できます。

データ レイクの構築は 5 年ほど前から一般的なトレンドで、多くのデータ チームがより良いビジネスの洞察を得て、新しいデータ中心のサービスを作り上げることを目指し、この「湖」を構築してきました。

しかし現実には、これらのデータ レイクの多くが今では「データの沼」と呼ばれるように、透明性を欠いています。十分な事前の検討がないままこれらのアーキテクチャに取り込まれたデータは、容易にはアクセスできなくなり、たとえば顧客に関する洞察や市場に対するインテリジェンスを得るために活用できる、利用可能な情報にすることが困難です。

すでにデータ レイクを構築してデータを取り込んだ企業の一般的なユース ケースでは、ビジネス現場と企業にすでにあるデータ レイクの中間に最新のデータ ファブリックを配置し、このデータと関連メタデータを職務別に使用可能な情報に変換しやすくしています。こうしたアーキテクチャの構築をこれから目指している企業では、別のオプションとしてスマート データ レイクを導入できます。この種の取り組みで重要な性質は、まさに「スマート」であることです。スマート データ レイクは、データ ファブリックを配置する場合と同じようにデータを使用可能な情報に変換できる、きわめて重要なメタデータ レイヤーを提供することもできます。

フロントオフィス、ミドルオフィス、バックオフィスにわたる現在のテクノロジ環境を戦略的に見直す際には、重複するプロセスを排除して効率を高めることに重点を置き、長期的なシステム廃止計画を視野に入れる必要があります。また、フロントオフィスとリスク管理の業務を積極的に進められるようにし、市場の変化への迅速な反応を可能にする、データ機能の構築も検討課題にすべきです。リモート勤務が業界全体にわたってさらに一般化するのに伴い、プラットフォームやクラウドに依存せずに動作し、柔軟性、俊敏性、拡張性が強化された未来の働き方をサポートするテクノロジの導入を企業は重視する必要があります。

企業の大半は最終的に、レガシー テクノロジ プラットフォームの置き換えを余儀なくされることになりますが、このプロセスには時間がかかるため、中間の段階ではレガシー システムと次世代システムに含まれる情報をアクセス可能な状態に保ち、ビジネスに活用できるようにハーモナイズするデータ サポートが必要です。また、サイロを永久に排除できる見込みもありません。資本市場企業では、職務特有のアプリケーションを使うことと、合併や買収が起きることは現実的に避けられず、こうしたことからデータ サイロと統合に関してさらに多くの課題が生じます。データ ファブリックを活用すれば、複数のシステム、複数の職務から情報にアクセスする際に、事業部門間で摩擦が生じなくなります。

「企業がデータ ファブリックに投資すれば、情報のアクセスに関して積み重なってきた摩擦を解消でき、データの前処理のコストと複雑さが減り、競争に役立つさらに有益な洞察が得られます。」

インテリジェントな分散エンタープライズ データ ファブリックへの投資がビジネスにもたらすメリットは多方面にわたり、以下のように社内と社外の両方で、洞察が得られる頻度の向上につながります。

  • ハイパフォーマンスで大規模にアクセス可能な、一貫性のある統合されハーモナイズされたデータ レイヤーを経由して、企業と最終顧客に役立つ洞察を提供できます。
  • 次世代のテクノロジの進歩には、強力なデータの基盤が必要です。人工知能と機械学習テクノロジが機能するためには、企業の職務に関連したサイロから収集したクリーンで正規化された最新のデータが大量に必要です。データ ファブリックを利用すれば、すべてのエンタープライズ データ ストアの構造を全面的に再構築することなく、このデータを取得できます。
  • 企業は規制当局からの随時の問い合わせに短時間で迅速に対応でき、コンプライアンスの問題を避けることができます。規制当局によるデータ品質の取り締まりが、レポートの提出に基づき、企業の業務と統制の監査によって続けられている中、金融機関は評判を落とすような賭けに出る余裕はありません。データ ファブリックは、これらの義務を果たすために必要な柔軟性とパフォーマンスを提供できます。
  • リスク データと分析結果をよりタイムリーに入手できれば、企業は市場の動きにリアルタイムで適応できるので、資本と流動性の両方の管理にメリットがあります。企業がリスクの最新状況をより迅速に確認できれば、社内の職務の枠を超えた意思決定が容易になります。
  • 現在の環境における人員不足によってチーム メンバー間で作業を引き継ぐ際には、シームレスなデータ アクセスが社内チームにメリットをもたらします。すべてのチームが組織全体から必要なデータにアクセスすることを許可されていれば、キーパーソンへの依存リスクを減らすことができます。
  • データ セキュリティは最重要課題であり、規制当局と顧客がサイバーセキュリティと業務回復力を一層厳しく精査するようになっている現状では、複数のオープン ソース ツールを継ぎ合わせようとするよりも、この分野で信頼できるパートナーと連携することの方がはるかに安全な策です。
  • 市場の動きに基づいたデータや分析のワークロードの急増に対処する能力により、さらに効率的かつ効果的にビジネスを拡張できます。データ収集プロセスの合理化によっても、業務リスクの低減と業務回復力の向上が実現します。

将来の展望

長期的に見れば、データ ファブリックは全社レベルでデジタル トランスフォーメーションを実現するという目標に合致します。データ ファブリックを利用すれば、企業のあらゆる部門からデータにアクセスできるとともに、データの来歴の確証を可能にするきわめて重要なメタデータにもアクセスできます。苦労してさまざまなデータ属性の適時性や正確性を把握し、顧客、規制当局、社内チームのために監査証跡をまとめる代わりに、データ ファブリックは基礎のソース データとそのリネージュへのアクセスを可能にします。

顧客のための詳しい洞察、取引のコストを評価するフロントオフィス チームのためのリスク情報など、どのようなデータでも社内と社外の関係者にリアルタイムで提供できます。現在の市場で絶え間なく起こる市場の変動に応じて、リスク管理、担保管理、価格設定の各チームが、流動性を維持して取引先リスクや市場リスクを軽減するために必要なアクションを、常に最新の情報に基づいて判断できます。

財務顧問は、最善のオプションがあればただちに顧客に提示できるようになり、新しく市場に参入してくる競争相手を振り落とすことができます。資産管理企業にとっても、プログラムによって実行できるシミュレーションに高品質のデータをより多く取り込めることは強みになり、機会を特定してリスクを軽減する能力を向上できます。

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トレーダーは、社内ソースからリアルタイムで受信するデータを頼りにすることができ、特に流動性の低い市場からの情報を社内チームが検証して修正するのを待つ必要がなくなります。

より迅速なデータ提供によって意思決定支援が強化されるとともに、サイロを越えたデータへの総体的なアプローチによって、機械学習、人工知能、自然言語処理などの次世代テクノロジ アプリケーションの利点を生かすためのデータ セットを企業が入手できるようになります。これらのテクノロジは大量のデータを要求するので、企業がこれらのツールに供給できる情報が多いほど、結果の正確度が高まります。もちろん、機械学習プラットフォームに取り込むデータの品質も高くなければならないので、正確な最新データの準備が必要になります。

市場にあるすべてのオプションを評価する際には、ソリューションのハードウェア コストとアーキテクチャの複雑さを慎重に検討する必要があります。たとえば、別個のデータベース管理システムを使用するインメモリ データ グリッドなど、複数の独立した異種テクノロジを統合する必要があるアーキテクチャを選択すると、コストが高くなり、必要なハードウェアが増加し、開発とメンテナンスが複雑になることがあります。

今日では、複数のレイヤーと機能を結合してただ 1 つのアーキテクチャを提供するオプションを選べば、はるかにシンプルなアーキテクチャで、金融サービス企業の TCO を大幅に削減しながら、ビジネスに重要なメリットが得られます。すなわち、トランザクション データベースと分析データベースの管理機能を備えた水平拡張性のあるエンタープライズ データ ファブリックと、リッチ データおよびアプリケーションの統合機能を組み合わせたオプションです。

これらの新しいテクノロジを利用することで、企業は現在の危機によって生じている問題点を解決できるだけでなく、コストをかけて現行の業務インフラストラクチャを総入れ替えしなくても、将来のデジタル化に向けての動きを加速できます。

現在は先行している企業でも、あるいは後れを取っている企業でも、競争優位性の維持や獲得のために頼りになるのは、堅牢なデータ アーキテクチャへの投資です。市場が見かけ上は正常に戻るときが来たとしても、この投資を怠る企業にとっては苦戦が続くでしょう。

企業のデジタル トランスフォーメーションの成否は、強固なデータ基盤への投資にかかっています。未来を見据えながら、これらの非破壊的なエンタープライズ規模の新しいデータ テクノロジが、企業の顧客対応、戦略的洞察、リスク管理活動、法規制遵守に与えることができる効果について考えてください。社内と社外の主な利害関係者に、重要なデータ、洞察、アクションを必要なときにリアルタイムで提供するテクノロジが、違いをもたらします。
 

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1「Building operational resilience: impact tolerances for important business services」、FCA、2019 年 12 月

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