InterSystems HLC レポート – Part 1

社会医療法人 敬和会
執行役員
教育・研究担当部長 佐藤昇

 
去る9月22日から25日までの4日間にかけて、米国のボストンにてインターシステムズ社主催の グローバルサミット 2019 とその分科会である ヘルスケアーリーダーシップ カンファレンス (以下 HLC) が開催された。
9月も後半にさしかかっており多少冷え込むことも予想されたが、今年は例年になく温かったようで、さらに幸運なことにカンファレンスの会期中はずっと好天候に恵まれたため快適に過ごすことができた。

ボストン中心部の会場となったマリオットやシェラトンホテルを含めた多数の商業施設は広大で開放的な空中の回廊で接続されており、主要建物への行き先案内も豊富にあることから地上を歩くよりもはるかに便利で迷うことはまずない。特に冬場や雨降りの日にはとても重宝するインフラであるとともに、散策したり出店のカフェでビジネスの話をしたりするのにもうってつけの贅沢で快適なスペースでもある。余談になるが、ボストンはシリコンバレーと共に IT 系のスタートアップ企業のメッカとして知られているが、ビジネスのための新たな建物をデザインする際には、人と人とが偶然出くわすチャンスを意図的に増やすような構造を取り入れているケースが多いという。スペース効率のみを追求するのではなく、あくまでも人を中心にしてその創造性を最大限に引き出すためにインフラを設計するという考え方であろう。

 
ここで簡単に自己紹介をしたい。
私たちは地方の一医療法人のIT導入に携わる医師であるが、IT の専門家でもなければ医療情報学の研究者でもない。日本からわざわざボストンまで来た目的は、今後急性期 (地域医療支援病院)、回復期、精神科の3つの病院と1つの老健及び在宅医療部門を含む10余りの当法人に所属する施設をネットワークで結び DWH により一元的に管理するプロジェクトを遂行する上で参考となる事例を学ぶことである。

また、将来的に現在300余りの御協力を頂いている地域の連携医療機関の先生方にもネットワークの一員として参加して頂き、更には地域住民の皆様とも FHIR をプラットフォームにした PHR の普及を通して強い絆と信頼を醸成して行くには、先行事例を実際に担当した人から直接聞いたり質問したりする機会が不可欠と考えた。加えて、現在県レベルで進められている医療情報ネットワーク化推進プログラムとの機能的接続性なども検討し始めねばならない段階にある。
そのためには、大規模な医療情報ネットワーク網を既に構築した豊富な経験を持つヘルスケア関連の企業や組織が世界中から一堂に会し、最新の医療IT関連の情報を共有することができるこのグローバルサミットはまたとないチャンスであった。

 
今回初参加となったが、やはり企業中心の会合であるため学生さんなどの多い一般の学会とは異なり、社会人の若手や中堅クラスの参加者が大多数を占めており、どちらかというと今年初頭に参加した HIMSS の雰囲気に近いような印象があった。
グローバルサミットへの参加者全員が集合するセッションとヘルスケア関係者だけが集う HLC とが交互に組み合わされていたが、特に HLC では興味のあるセッションが盛りだくさんで、その多くは同時進行していたため参加できなかったものもあり少々もったいない気がした。

 
グローバルサミットの全体カンファレンスでは、インターシステムズ社、大学や研究所などのアカデミア、インターシステムズを導入したことにより著しい成果を上げた企業などがプレゼンテーションを行った。
特に、世界的な海上輸送に携わる大企業がインターシステムズの IoT 技術を導入することにより世界中で何万ものタンカーで輸送されるコンテナの動きをリアルタイムで精密に制御することを可能にした事例発表にはそのグローバルレベルのスケール感にただただ圧倒された。

また、今回は何といっても AI や発展著しい FHIR に関するプレゼンテーションが数多く見られた。
中でも最も印象的だったのは、カーネギーメロン大学でロボット工学を専門とする教授が、「5年以内!にAIは医療診断や治療方針決定の全ての領域で医師の能力を上回る」と断言したことだった。
つい昨年位までは10年以内と聞いていた記憶があるので、あっという間に期間が半分に短縮されたことになる。ということは、逆算すると数年以内に医療のかなりの分野において AI が幅を利かせてくることになるので、今見ている風景が大きく変わることは確実である。
とは言え AI がいくらすごいものであっても、質の高い基礎となるデータが無ければその性能を発揮できないことから、それを可能とする高性能の医療情報ネットワークインフラの構築が喫緊の課題となる。また、それに伴い医師の役割が今とは大きく変化していくであろうし、医療分野のポピュラリティもAI制御の手術ロボットの進化普及によりかなりのランキングの変動が見込まれる。最近巷でよく耳にする、「先が読めない時代」に医療分野もすでに突入しているのである。

 
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