Skip to content
インタ―システムズ製品やソリューション、キャリアの機会などについて、検索してご覧ください。

臨床検査医学の未来を創る: 業務効率とイノベーションのための基盤を構築する

臨床検査医学の未来を創る カタログ表紙イメージ

分析、人工知能 (AI)、および機械学習におけるイノベーションは、臨床検査の分野に影響を与えており、多くの検査機関はこのような急速に進化するテクノロジをワークフローに取り入れつつあります。1 これにより、検査データをその他の医療システム データと統合して重要な意思決定とサービスの効率の向上を図りながら、患者のアウトカム (治療結果) を改善して付加価値を高めるための重要な機会が提供されます。2 その一方で、臨床検査機関はより少ないリソースでより優れた結果をより速く出さなければならないというプレッシャーにさらされているため、いちかばちかやってみるという考え方も根を下ろしています。

急速に変化する臨床検査医学の分野において、より大規模なAI(人工知能)による自動化の活用、ポイント オブ ケア テスト (POCT) のより積極的な採用、またはまったく新しい検査テクノロジ (ゲノム検査など) といった臨床検査の新しい方法論は、より少ない労力でより多くの成果を上げるための負担を増やすものとなっています。世界中で、統合を促進する動きが進んでおり、それに伴って検査機関でのサービスの提供方法も変化しています。とりわけ、遺伝やゲノム医療の分野における投資と追加のスキルを持つ職員が求められているため、検査機関では自動化による効率化の向上を最優先する必要があります。

変化する臨床検査機関のビジネス モデル

メディケア メディケイド サービス センター (CMS; Centers for Medicare and Medicaid Services) は、メディケア アクセス保護法 (PAMA; Protecting Access to Medicare Act) の下、2018 年、2019 年、および 2020 年に臨床検査に対する償還額を最大 10% 削減しており、2021 年から 2023 年にかけてさらに 15% の削減を予定しています。小規模な臨床検査機関は、メディケアの価格指数を設定する契約からの財政的な締め付けも経験しています。3

既に薄利経営であるほとんどの臨床検査機関では、これらの問題は存続に関わる脅威となっています。
さらに悪いことに、こうしたことは熟練した技術を持つ検査技師が不足している中で起きています。米国労働統計局は、2016 年に年間 12,000 人の新しい臨床検査専門家が必要になると予測していました。しかし、毎年新たな労働力として加わるのはわずか 5,000 人です。4

利益率の縮小に直面している検査機関は、効率を高め、コストを削減する方法を模索すると同時に、価値を重視して償還が行われる新しい環境の中で、成果を上げるべく奮闘しています。5そのような検査機関は、限られた時間、スタッフ、その他のリソースを効果的に最適化する必要があります。
プロセスの効率性とテクノロジの向上が、このような環境の中で検査機関がコストを削減し、スループットを向上して、強固な財政基盤を維持できるようにするための鍵となります。このような背景の中で、検査機関は以下のことを実現する方法を見出す必要があります。

  • 組織内の老朽化の進むテクノロジ プラットフォームと IT システムを最新化または統合し、コストを削減して柔軟性を実現する
  • 手動のプロセスを排除し、可能な場合には自動化を促進して、業務効率と熟練した労働力の使用の向上を図る
  • 利用可能なデータと分析を活用してより優れた健康アウトカムを促進し、最適化の機会を特定して、組織の内外で新しい収益源を追加する
  • ヘルス エコシステム全体で情報共有と透明性を実現し、長期的な患者記録および支払者と医療機関に対する付加価値を提供する

パートナーシップとテクノロジによる効率性の向上

臨床検査用のソフトウェア プロバイダである ローズ グループ は、独自の機能と業界知識を活用して、検査機関が効率性を向上して限られたリソースを最適化できるよう支援するチャンスを見いだし、検体の収集とラベリングのプロセスを合理化することから始めました。

提供する製品の幅を広げるための堅固な基盤を構築したいと考えていたローズ グループは、価値の高い検査用カスタム ソリューションを開発するための、医療情報の相互運用および分析機能が組み込まれたアジャイルなアプリケーション アーキテクチャを提供するテクノロジ パートナーを求めていました。

このような機能が組み込まれていることで、ローズは自社のテクノロジ スタックにより多くのポイント ソリューションを追加するときの複雑さとコストを排除できるようになります。また、特定の検査情報管理システム (LIS) や電子カルテ システム (EMR) に依存することなく機能し、HL7 メッセージを処理することで臨床ワークフローにシームレスに統合できる検査ソリューションを構築することも可能です。結果として、顧客である検査機関に対して最大限の柔軟性と価値を提供できるようになります。

強固なテクノロジ基盤

これらの目標を念頭に置いて、ローズ グループの CEO であるスティーブ エア氏は、長年のパートナーであり、医療分野で品質にコミットし、ミッションクリティカルで複雑なデータの管理における豊富な経験を持つインターシステムズの協力を得ることにしました。世界中で 10 億件を超える電子カルテの記録が、インターシステムズのテクノロジで構築されたソリューションによって管理されており、インターシステムズで稼働する検査機関が、米国全体の検体のほぼ半数を毎日処理しています。ローズ グループは、以下のことを実現するためのテクノロジ プラットフォームの必要性を認識していました。

  • LIS、EMR、請求システム、およびその他の発注管理または臨床システムを始めとする複数のソースからのあらゆる形式の医療データを取り込む
  • これらのソースからのデータを集約、重複排除、および正規化して分析を実行するか一般的な AI/機械学習ツールセットを活用して、最終的によりスマートなプロセスを構築する
  • 国内全域の検査機関の効率性、速度、および精度を向上するための拡張可能なマルチテナント アプリケーションを容易に、コスト効率の高い方法で構築する
  • ローズ グループのビジネス/ポートフォリオ全体にわたるソリューションを前進させるための基盤として堅牢なプラットフォームを提供する

エア氏とローズ グループにとって、検査機関の顧客の効率性を推進することが鍵となっていました。「Laboratory 2.0 を実現するテクノロジに猛進する臨床検査機関は、必要な土台、つまり Laboratory 1.0 のことを見過ごしてしまうことがしばしばあります。」Laboratory 1.0 は、リソースを解放し、検査機関の成功とイノベーションを実現することのできる業務効率の堅固な基盤とも言えます。

例えば、検体収集やラベリングのような、定型的な作業であっても不可欠なプロセスについて考えましょう。通常、検体が病院から集荷されるときに、患者と医師を識別するための手書きのラベルが臨床医によって貼り付けられます。検査機関では、検体を受け取るときに、この情報を解読して、患者およびその割り当て先となる分析装置を正確に特定し、ラベルを剥がして、機械で読み取れる新しいラベルに貼り換える必要があります。そのような手動のプロセスでは、医療機関にとっての可視性がほとんどなく、検査機関で多くの労働力を要し、転記ミスが起きやすくなるため、時間、コスト、そして患者の安全性にも悪影響を及ぼします。

エア氏と彼のチームは、InterSystems IRIS for Health™ データ プラットフォーム上の eMyLabCollect という新しいアプリケーションを構築することで、検査機関でのこうした非効率性を解消することができました。このアプリケーションは、ラベルの貼り換えを不要にし、病院と検査機関の両方で検体収集業務を合理化します。

このアプリは、HL7 メッセージを介してほぼすべてのシステムから発注情報を受け取り、医療機関が医療現場で収集されるすべてのサンプルに対して機械で読み取れるバーコード ラベルを生成できるようにします。これにより、検体を受け取る側の検査機関での労力を削減でき、プロセス全体を通じて医療機関での追跡が容易になり、透明性がもたらされます。このアプリは、病院の壁を越えて患者をサポートできるようになったモバイル医療機関にとっては特に役に立つものであり、人的ミスの生じるリスクを抑えつつ、複数の医療機関を一度にサポートします。例えば、別々の病院にかかっている複数の患者の検体を老人ホームで収集する場合、医療機関では機械で読み取れる固有のラベルをすぐに生成することができるので、それぞれの患者がかかっている病院と医師を正確に追跡することができます。

eMyLabCollect の後続のバージョンでは、RFID (無線識別) ラベルも利用できるようになります。そのため、モバイル医療機関は複数のサンプルが装填されたトレイをそのまま検査機関に送れるので、検査機関ではそれらの検体をより迅速に処理して、初期工程で必要とされる労力をさらに減らすことができます。

eMyLabCollect は、こうしたモバイル医療機関における合理化されたワーク フローを実現します。そして、検査機関では長期ケア施設や在宅介護環境における外来治療にも対応できるようになるので、追加の収益源がもたらされます。病院や検査機関では、どこからでも検体を収集して処理できるようになります。また、モバイル医療機関では、容易に医療機関を訪れることのできない患者のために、モバイル スタッフを地方へ派遣して往診サービスを提供することも可能になります。このアプリケーションは、モバイル医療機関が割り当てられたそれぞれの患者を訪れるための最も効率的なルートも特定でき、マッピング ツールとの統合によるナビ機能も提供できます。

InterSystems IRIS for Health データ プラットフォームは、統合やデータ管理といった、ローズ グループが eMyLabCollect で実現したい機能を単一の開発プラットフォームで提供します。このプラットフォームを使用せずにこれらの機能を再現する場合は、複数のポイント ソリューションが必要になります。そうすると、開発がさらに複雑で高コストになります。ローズ グループは、IRIS for Health を活用して、総開発コストを削減し、そのメリットを顧客に還元することができました。

「今では、自社製品のリーチを広範囲にわたって拡大し、顧客の総所有コストを削減できるようになりました」とエア氏は語っています。このようなカスタムの検査用アプリケーションは、業務を合理化し、スケジューリングを向上して、労働力や設備などのリソースを効率的に割り当てるためのコスト効果の高い機会を提供するだけでなく、運営費のための新たな収益源も生み出します。

医療の相互運用性は不可欠

ほとんどのテクノロジ ベンダは、医療データの統合、分析、および高パフォーマンスのデータ管理を 1 つのプラットフォームで提供することができません。HL7 メッセージをどこからでも、それらを変換するための追加のポイント ソリューションなしで取り込める機能を備えていることは、エア氏が適切な開発テクノロジを選択する上での重要な条件でした。InterSystems IRIS for Health は、ソースにかかわらず、最新のデータ形式とレガシー データ形式間の組み込みの変換機能を備えており、世界中の主要な医療相互運用性の標準とプロトコルのすべてに準拠しています。

そのため、エア氏と彼のチームは、複数のポイント ソリューションの展開に伴う労力とコストを回避して、必要なすべてのコンポーネントを 1 つのプラットフォームに集約できることによる安心感を得られているほか、開発コストを大幅に下げることができています。

エア氏はまた、 インターシステムズが2019 年のガートナー ピアインサイト カスタマーズチョイス (オペレーショナル データベース管理システム部門) を受賞し、マジック クアドラントに選ばれた企業の中で最も高い評価を獲得したことにも感銘を受けました。エア氏は、次世代の検査用ソリューションのすべてに高可用性、災害復旧、およびスケーラビリティをもたらすための基盤となる InterSystems IRIS for Health テクノロジの能力に信頼を寄せています。

医療のAIイノベーションに欠かせない柔軟性とスケーラビリティ

ローズ グループは自社のソリューションが勢いを増す中で先のことも見据えており、インターシステムズは同社の将来を支えるための主要な役割を果たしていきます。同社はマルチテナントのクラウドベースのアプリケーションを構築し、eMyLabCollect を使用したいと考えている国内の医療機関がすぐに導入できるようにするための準備を整えています。

「アプリケーションのマルチテナント クラウド環境にテナントを追加して、その規模が大きくなったときには、データベースのシャーディング機能を使用して対応することになります。そこで、InterSystems IRIS for Health を使用すれば、アプリケーションを再構築せずに拡大できるようになるわけです」とエア氏は語っています。また、InterSystems IRIS for Health は、パブリックまたはプライベート クラウドで簡単に展開することのできる柔軟性も備えています。

さらに、ローズ グループでは、eMyLabCollect のほかにも、提供する製品の幅を広げるために、注文を入力して結果を表示するポータルや、診断を最適化するためのさまざまなモジュールを備えたケース管理ツールを開発しています。このツールを使用すると、ユーザは特定の疾患に対して確立されたプロトコルを設定し、保険者または医療機関に、カスタマイズ可能で特定の状況でトリガされる、一連のリマインダーを設定できるようになります。例えば、特定の患者コホートに対して実施する必要のある推奨試験について、保険者に自動的にアラートが表示されたり、ケアのギャップを特定するための推奨試験を受けなかった場合に通知が表示されたりします。

臨床検査機関の将来のための基盤

AIによる自動化がますます進む臨床検査機関では、生き残りをかけた効率化の戦いが繰り広げられています。臨床検査機関では、スピードとアウトプットの向上、旧式のシステムとプロセスの置き換え、コストの削減、そして生き残るための新たな収益源の創出を実現するための、革新的なテクノロジの活用方法を必要としています。

パートナーとテクノロジの適切な組み合わせによって、この目標を現実のものにすることができます。インターシステムズのテクノロジにより、検査機関およびソフトウェア ソリューション プロバイダは、分析または機械学習モデルの基盤となるデータを集約および正規化できるようになります。そのため、これらの組織では、独自のプロセスを表示および改善し、高品質の実用的な洞察を通して医療機関に付加価値を提供できるようになります。またインターシステムズのテクノロジにより、ローズ グループのような組織が、コスト効率の高い方法で臨床検査の問題を解決し、新たな収益源をもたらす道を開くカスタム アプリケーションを構築できるようになります。

ローズ グループは引き続きインターシステムズとのパートナーシップに基づき、より革新的なソリューションを構築、拡大して、顧客に提供していきます。「最終的には、検査機関、医療機関、および保険者向けの弊社プラットフォーム全体で、インターシステムズの製品を採用する予定です」とエア氏は述べています。

 

InterSystems IRIS for Health について、さらに詳しく

検査機関におけるインターシステムズの技術について、さらに詳しく


 
1 - Durant T. Machine learning and laboratory medicine: Now and the road ahead (機械学習と臨床検査医学: 現在そしてこれからの展望). Clinical Laboratory News. 2019 年 3 月 1 日 (https://www.aacc.org/publications/cln/articles/2019/march/machinelearning-and-laboratory-medicine-now-and-the-road-ahead) 2 - Shirts B, Jackson B, Baird G, et al. Clinical laboratory analytics: Challenges and promise for an emerging discipline (臨床検査室分析: 新たに出現した学問領域の課題と将来性). J Pathol Inform. 2015; 6:9. doi: 10.4103/2153-3539(https://www.ncbi.nlm.nih. gov/pmc/articles/PMC4355825/) 3 - Lim, David. Clinical lab lobbying spikes as PAMA cuts kick into effect (PAMA による償還額削減の発効以降、臨床検査機関のロビー活動が急増). MedTechDive. 2019 年 2 月 1 日(https://www.medtechdive.com/news/clinical-lab-lobbying-spikes-as-pama-cuts-kick-intoeffect/547278/) 4 - Richards, Kathryn. Using automation to help address the laboratory workforce shortage (自動化により検査機関の労働力不足を解消). Medical Laboratory Observer. 2018 年 7 月 24 日 (https://www.mlo-online.com/information-technology/automation/article/13017028/using-automation-to-help-address-the-laboratory-workforceshortage) 5 - Nichols J, Stine V, Forsman R, et al. What the Protecting Access to Medicare Act Means for Clinical Laboratories (メディケア アクセス保護法が臨床検査機関にとって意味するもの). Clin Chem. 2019; 65: 6. doi: 10.1373/clinchem.2019.303255. (http://clinchem.aaccjnls.org/content/early/2019/03/27/clinchem.2019.303255.abstract)

関連するトピックス

あなたが好きかもしれない他のサクセスストーリー