世界中で高齢化が進む中で、慢性疾患の有病率もますます高まりつつあります。同時に、医療費を支払っている患者は、費用の高騰に苦しんでいます。現状はこのように持続不可能な状態になっていますが、人々のニーズに応えるためには、持続可能な医療制度を維持しなければなりません。そのため、世界の医療制度は、提供された医療サービスの量に基づく従来の支払モデルから、価値ベースおよび成果ベースの支払モデルに移行しつつあります。新しい支払モデルでは、患者を入院させないことが重視されます。予防スクリーニング、ウェルネス計画、在宅ケア、その他の対策を通じて成果を向上させ、全体でコスト削減を実現することを目指します。MedTech 企業(医療機器メーカーなどの医療テクノロジー企業)は、価値に基づく診療施策を成功させる上で、重要な役割を果たす可能性があります。
リスクの共有
多くの医療機関は、支払者とリスクを共有する取り組みを開始しています。病院、開業医、そして急性期後の診療を行う施設なども、これらのリスクを負っているとインターシステムズでは考えています。しかし、先見の明がある MedTech 企業は、価値に基づく診療において自身が果たせる役割についても考え始めています。例えば、メディケア・メディケイド・サービスセンター(CMS)などの保険機関(支払者)は、いかに価値を達成するかを決めるために、包括払いの仕組みを提供している医療システムに依存しています。取り組みの例としては、同等またはそれ以下の費用でより良い成果を提供すると約束するMedTech企業と契約を結ぶことなどが挙げられます。
多くの MedTech 企業は、例えば以下のような形で、価値に基づく診療に参入する方法を見つけています。
- 自社のデバイスは効果的で効率的な診療を提供できると証明する。例えば、現在の医療機器を使用することで、合併症を減らしながら、より効率的な診療を提供することができているか。
- 以下のように、成果と患者にとっての体験を向上させる。
- 糖尿病患者に自分の血糖値をチェックするために在宅血糖値監視システムと患者用の血液スティックを使用
- 特定の在宅監視デバイスの有効性のフィードバックを提供する患者エンゲージメントツール
これらの同じ MedTech 企業は、既に保険機関やプロバイダと取り決めを結び、患者の成果に応じて、製品やサービスの料金の支払いを受けられるよう設定しています。患者に臨床上のメリットを、また制度に経済的な見返りをもたらすデバイスは、価値に基づく診療モデルに参入しつつある関係機関にとって、さらに魅力的なものとなりつつあります。MedTech Strategist という媒体で発表された調査結果によると、多くの先進的な医療機関は、価値ベースのプログラムの導入を推進するため、MedTechベンダとのパートナーシップを模索しています1。
MedTech データ戦略の価値
MedTech 企業が機敏さを保ち、価値に基づく医療費の支払いに参入するには、医療施設、保険機関、そして最終的に患者に価値をもたらすデータ戦略が必要です。この戦略には、患者中心のデータ(臨床データ、管理データ、デバイスデータ、自己生成データなど)を集約するテクノロジが含まれます。このようなテクノロジは、MedTech のデバイスやサービスが提供する価値を測定するための土台にもなり得ます。MedTech ソリューションは、集約データを処理することで、リアルタイムのフィードバックを患者やプロバイダに提供するだけでなく、独自の価値を確立することもできます。
MedTech のアドバンテージ
患者が生成したデータを収集できる MedTech 企業は、独自のアドバンテージを持っていると言えます。長期にわたって蓄積された記録を活用すれば、デバイスのパフォーマンスに関するトレンドや、介入に対する患者固有の反応を分析し、フィードバックを患者に提供できます。患者、医療施設、デバイスメーカーなどの複数の参加者がデバイスからのアラートを(血糖値が適切な範囲から外れたときなどに)リアルタイムで受け取れるため、より迅速な介入が可能になります。MedTech 企業によるデータ戦略が成功すれば、他にも以下のようなメリットがあります。
- 規制環境を俊敏にナビゲートする能力。連邦規制当局がそのプログラムに変更や修正を加える中で、大量の臨床データセットにアクセスできれば、自社の業務がどのような影響を受ける可能性があるかについて、洞察を得ることができます。
- 従来のサプライチェーンで価値に基づく診療を提供する場合のコスト管理における高い業務効率。また、「サービスとしての MedTech」アプローチでデバイスを用いてデータを収集し、分析と結果によってサービスを定義することでも、高い業務効率を実現できます。
- 大量のデータセットを用いて契約オプションを深く理解することによって得られる、交渉における強み。医療機器メーカーは、契約交渉に入る前に、今までのパフォーマンスや成果データから得られる価値について、洞察を得ることができます。
- 自由自在な治療。長期的な記録(デバイスや治療のデータを含む)を集約し、保存し、分析するイベント駆動型のインフラストラクチャを採用しているため、MedTech 企業は、リアルタイムで患者に介入することが可能になります。同じデータや分析を利用できない競合他社は、同レベルのサービスやメリットを提供することはできません。
貴社がグローバルな価値に基づく診療市場に参入するための戦略において、インターシステムズ は中心的な存在になることができます。
詳しくは、
InterSystems.com/jp/MedTech をご覧ください。
Lynda Roweは、インターシステムズの価値に基づく医療システム担当のシニアアドバイザです。代替的な支払モデル、公共部門、州のメディケイドプログラム、その他の関連分野において、ガイダンスを提供しています。情報技術の中でも、特に医療テクノロジのコンサルティングとオペレーションの領域で、25年以上の経験を積んでいます。
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1 - Medtech Strategist、2018年6月27日、第5巻9号。「Good News, Bad News, Hospitals want to Partner(良いニュースと悪いニュース、パートナーを探す病院)」Jonas Funk、Monish Rajpal、およびIlya Trakhtenberg、LEK Consulting。