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散在する大量のデータの山をなくす時

doctor medical health

現在は医療関連のテクノロジーカンパニーに従事しており、最近は直接診療を行うことはないのですが、臨床医というものがどういうものかは、よく覚えています。

私は25年以上、救急部門で医師として勤めており、このことが、私がインターシステムズで働くきっかけになり、医療情報の管理と共有のよりよい方法を開発する支援をしています。必要なときに適切な情報を得られるということは、患者の命を救うことができる可能性を高めることであるとよく理解しています。

不完全な紙の記録から電子医療記録(EHR)に移行し、そのことによる1つの課題は、関係のない情報が多すぎるということだと思います。多くのEHRは非常に情報が分散されすぎていて、医師は、適切な情報を引き出すことができません。非常に優秀なパートナーと協業して、インターシステムズは、EHRからの情報を臨床的に適切なコンテキストに集約するさまざまなソリューションを開発しています。

1例ですが、もともとEHRがあり、医師のワークフローで活用できる異なるソースの臨床データを1つの画面で集約して見られるようにしています。例えば、医師がうっ血性心不全の臨床画像を選択すると、その画像に患者の体重、BNP値、駆出率、さらに関連する処方、併存疾患の状態などを見ることができます。データは、多くのソースから抽出され、読影レポートなどのフリーテキストの文書も含まれます。

アラートも医師に関連情報について、警告する1つの方法です。インターシステムズの情報交換システムのお客様の1つで、米国で最大の医療情報交換組織では、当社の別のパートナーが提供する機械学習分析を利用して、入院、救急搬送、糖尿病の進行状態など患者のリスク要因を計算するリスク予知モデルを運用しています。このアプリケーションは、その地の住民の疾患統計を考慮し、特別なリスク情報を患者記録に直接送付することができ、医師は、患者来院時にハイリスク箇所が、赤くハイライトされ、それを確認することができます。この機能によって、重大な局面における集団健康管理に大きなインパクトを与えることができます。

同じHIEが、毎月約50万件の臨床イベント通知を送信しています。1つの例は、患者が救急科に搬送された、あるいは、急性期病院に入院したときに、プライマリケア医師は、アラートを受信することができます。HIEによると、このアラートは、特に複雑な病状をもつ患者にとっては、有用であると言います。例えば、アラート受信後、プライマリケア医師は、救急科に連絡をして、治療を受けている患者に追加情報を提供することができます。

臨床推論は、診療の現場で、技術が医師を支援することができるもう1つの手段です。この場合、記録にあるデータから、患者が診断されていない、あるいは状態について文書化されていないなどを推論します。例えば、患者は1人の医師に足のむくみがあると伝えたとします。1週間後、地元の外来クリニックで息切れがあり、最近の心エコー画像で、心臓の駆出率が低下していると確認されました。ここで臨床推論エンジンは、医師に、うっ血性心不全の診断と処置を進言することができます。

医師に、患者に関してどのような情報が必要なのですかと尋ねると、「全てです」と答えることでしょう。しかし、きちんとした整理や、関連性、コンテキスト、付加価値(ナレッジ)なく情報が提供された場合、それはすぐに膨大で使うことができないものとなります。医師が必なものは、診療のその場で適切なデータにすぐにアクセスできるということで、この新世代のアプリケーションは、まさにそれを提供する素晴らしい新規の方法であるのです。

 

著者について

Turner Billingsley:医師、FACEP(Fellow of the American College of Emergency Physicians)。医療と技術の両方の経験を活かしインターシステムズのCMO(Chief Medical Officer)を務める。30年間臨床に従事し、その間、米国空軍のフライト軍医や、フロリダ州ジャクソンビルのセントビンセント医療センターでの救急医師などを歴任。また、エクスプレス・テクノロジーの共同創始者であり、CMOとしても従事し、救急科ドキュメントシステムの開発に携わった。

Turner Billingsley(医師)
医療と技術の両方の経験および業界のソートリーダとしてCMO(Chief Medical Officer)も務める経験をもつ。医療の顧客と協力し、医療技術システム開発の支援を行い、インターシステムズのIT部門を率いている。

米国空軍のフライト軍医、フロリダ州ジャクソンビルのセントビンセント医療センターで救急医師としての経歴を含め、30年以上にわたって臨床に携わっていた。セントビンセント医療センターでは、品質管理とリスク管理の責任者としても従事した。また、エクスプレス・テクノロジー社の共同創始者でもあり、CMOとして救急科ドキュメントシステムの開発にも携わった。

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