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Healthix 視察レポート

Tamer Hadi image

チリ視察の翌週は、米国最大規模のニューヨーク州にある地域医療連携組織 Healthix を視察し、Healthix のCEOであるTom Check 氏をはじめ、Vice President のTom Moore 氏、CIO のTodd Rogow 氏、およびニューヨーク市保健局のTamer Hedi 氏に、具体的な取り組みや課題について話を聞いた。
Healthix の医療情報基盤には、インターシステムズの医療連携ソリューション InterSystmes HealthShare が採用されている。

Healthixについて

Healthix は5つのRHIO(地域医療情報組織)を統合したニューヨークでは最大規模の地域医療情報交換組織(※医療情報連携ではなく、医療情報交換と表現するのは日本的な連携ではなく、よりダイナミックな情報交換を実現しているからである)で、ニューヨーク市全域とロングアイランドにおける登録患者数は約1600万人に及び、病院を含む600以上の医療機関と3万以上の医療従事者が参加している。
また、ニューヨーク州全土の医療情報ネットワーク SHIN-NYに加盟しており、ニューヨーク州とロングアイランドの約1500施設と接続し、情報交換を行っている。

Healthix は、ニューヨーク州からの補助金(税金の一部)と医療機関、保険会社からの資金で運営されており、患者の費用負担はない。ニューヨーク州の医療予算の65%は、米国のメディケア/メディケイドの予算から提供されているとのことである。ただ、米国では、日本と同様に高齢者人口が増加する一方で、就労人口が減少傾向にあるため、メディケアの運営は厳しくなり、国は医療費の圧縮を始めている。それが今後 Healthix の資金面にも影響を与える可能性があるという。

 

Healthix の医療サービスの特徴と成功要因

Healthix の患者数は年々増加しており、米国では、非常に成功している医療情報交換組織の1つである。現在、保有している患者データは約1600万人に達している。
その成功の最大の理由は、患者と医師やその他医療従事者にとって、「より良いアウトカムを最適なコストで得られる」医療の提供をしている点にある。特に、メディケイド(低所得者層向け医療費補助制度)に関しては、早期退院などいくつかのアウトカムについて目標を達成することを、政府として全ての医療機関に求めている。Healthix の医療情報交換は、その実現にも貢献している。

日本では、医療連携基盤の構築については、いかに安価で構築、運用するか、「資金」についてが先ず第一にテーマになる。Healthix では、システム投資を安く抑える事よりも、ICT基盤を利用して、いかに患者に最適な医療を提供するか、システム基盤を通じてどれだけアウトカムを改善、向上できるかが検討される。つまり、単にシステム導入、基盤構築を安価に済ませる事ではなく、最大限のROIを引き出す事が真っ先に議論されている。
ROIの透明化と把握、モニタリングのためにも、患者関連のデータを収集し、蓄積することに注力しているとのことであった。

収集されたデータは、臨床/ポイント・オブ・ケアでの利用の他、集団健康管理にも活用している。
活用範囲は、喫煙や体重管理などが原因の生活習慣病の予防・分析から、HIV、ジカ熱、リジオネラの感染防止まで、非常に広範である。特にHIVについては、患者の動向や、患者が適切な検査や投薬を継続しているかについてモニタリングを行い、患者のケアと感染防止に努めている。さらに、災害やテロの際の行方不明者の確認など、国の安全保障にも活用されているそうだ。ただ、データの公開/共有の際のプライバシーに関しては、やはり課題はあるとのことであった。

 

Healthix の視察を終えて

Healthix では、医師や患者自らが、経済面や利便性などの視点を含め、最適な医療を選択することができるサービスを提供しており、その柔軟性が Healthix の運用を成功に導いている点が、強く印象に残った。
また、HIE ではデータの収集と蓄積に力を入れており、且つ標準化も進んでいるため、その相互運用性を活かし、収集したデータを集団健康管理のみならず、災害対策までにも活用している点が、日本と比較して進んでいる点であると感じた。データが最も重要である、という考え方は、インターシステムズが提供しているソリューションの哲学とも合致しており、その意義を再認識した。
標準化に関しては、米国では医療ITべンタは、HL7 等の標準規格に基づくシステム開発が要求されるが、医療におけるテクノロジ・リーダが、標準に合致した API を公開することは、もはや義務であると Heallthix の方が話されていたのが、非常に印象的であった。とても学ぶところの多い視察であった。

 

投稿者:インターシステムズジャパン 営業部 南部茂樹

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